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  •  2011年11月22日、ベルリン・フィルの来日公演をサントリーホールで聴いた。今年、クラシックのコンサートに行くのはこれで5回目。去年の5分の1しか行けていない。前半は相次ぐ来日公演キャンセルで予定が消え、後半は仕事に追われて予定が立てられなかった。行きたいコンサートがどれも平日だったのだ。しかしながら、今回のプログラムはマーラーの交響曲第9番。指揮者はサ...

    [続きを読む](2011.11.25)
  •  イギリスが生んだ最もスキャンダラスな監督と言われるケン・ラッセル。彼は挑発的な作品を次々と発表し、世間を憤慨、驚倒させた背徳者であると同時に、極めて鋭く繊細な視覚と聴覚を持つ映像作家であり、音楽と映像をリンクさせる天才でもある。その非凡なセンスはBBC時代からすでに発揮されていた。例えば、ドキュメンタリー『エルガー ある作曲家の肖像』。淡々とした語り口であ...

    [続きを読む](2011.08.18)
  • 交響曲作曲家としての真価 シューマンの名前を聞いて多くの人がまず思い浮かべる作品は、おそらく「クライスレリアーナ」「謝肉祭」「子供の情景」などのピアノ曲か、「詩人の恋」「女の愛と生涯」「ミルテの花」といった歌曲だろう。この分野での評価には揺るぎないものがある。だが、他方、交響曲の作曲家としてはそこまで評価されることがない。「シューマンは管弦楽の扱いが稚拙だっ...

    [続きを読む](2011.03.14)
  •  まず第一にミトロプーロスの真価を伝えて余すところのない記録として、私は迷うことなくザルツブルク音楽祭でのライヴ盤を挙げる。オーケストラはウィーン・フィル。このオケはミトロプーロスのことを格別の敬愛を以て迎え、全幅の信頼を寄せていたという。この手のエピソードはたいてい美化されて伝わっているものだが、ミトロプーロスに関しては事実だったのではないかと思う。それく...

    [続きを読む](2011.03.13)
  •  ギリシャが生んだ巨星、ディミトリ・ミトロプーロスが遺したレコードには凄絶な輝きがある。一度この指揮者の魅力にとりつかれたが最後、もう逃れられない。 生前のミトロプーロスは、人間離れした記憶力でどんな複雑な総譜も完全に暗譜し、作品の核をえぐり、オーケストラがそれまで出したことがないマグマのような音を奔出させ、聴き手を畏怖と緊張と興奮で縛りあげた。指揮棒は晩年...

    [続きを読む](2011.03.10)
  •  往年の大指揮者たちのライヴ盤に接する際、「繰り返し聴くことができる」ということに対して、有り難さと同時に、畏れに近いものを感じる。今でこそ録音を前提としたライヴは多くあるし、指揮者もそのことを承知の上なのだろうが、かつてはまさかこの日の演奏がどこかで録音され、さらにCD化され、未来永劫聴き継がれることになろうと考えて指揮台に立った人はほとんどいなかったに違...

    [続きを読む](2011.02.07)
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