2024年10月アーカイブ

アニー・レノックス『ディーバ』1992年作品 ポップ・ミュージック史を彩った男女デュオたちを振り返ってみると、ソニー&シェールにアイク&ティナ・ターナーにキャプテン&テニールなどなど、かつては男性がメイン・ソングライター兼プロデューサーで、女性はシンガーという組み合わせが定型だった。それゆえに、マスターマインドと見做される男性ばかりが音楽的評価を得ていたと言...
[続きを読む](2024.10.26)
優劣をつけない 白鳥の小説は虚無的だと言われる。虚無とは便利な言葉である。そのように言っておけば、なんとなく白鳥の本質を言い当てたような気になれる。しかし、何がどう虚無的なのかはっきりしないし、批評として簡単すぎる。ここではなるべく具体的かつ簡潔に、白鳥文学の特徴を明示したい。 まず、白鳥の小説には甘さや哀れさがほとんどない。たとえ救いのない話でも、そこまで...
[続きを読む](2024.10.17)
型にとらわれず、自由に ブラームスの交響曲第3番は1883年に作曲され、同年12月2日に初演された。作曲当時、ブラームスは50歳。5月頃からヴィースバーデンで本腰を入れて筆を進め、10月にほぼ完成させた。ブラームスにしては速筆である。ちょうど作曲期間中、若い歌手ヘルミーネ・シュピースに恋慕の情を抱いていたらしく、その気分が作品に反映されていると見る向きもある...
[続きを読む](2024.10.05)