2018年4月アーカイブ

  • 『チリの闘い』 ドキュメンタリーの分野では、パトリシア・グスマン監督の『チリの闘い』三部作(1975年〜1978年)がある。これを観ればクーデターが起こるまでの経緯はほぼ掴める。労働者が多く登場するが、右派(ブルジョワなど)からもコメントをとっている。撮影は文字どおり命がけで行われ、1973年6月29日、クーデター未遂が起こった時には、カメラを向けているアル...

    [続きを読む](2018.04.28)
  • 1973年9月11日に何が起こったか 1973年9月11日、南米チリでクーデターが起こり、アウグスト・ピノチェト将軍率いる軍隊がサルバドール・アジェンデ大統領に退陣を要求、大統領府であるモネダ宮殿を爆撃した。1970年以降、政権に就いた左派(人民連合)に対し、右派はその政策を妨害すべく、買い占め、ストライキ、デモなどを行ってきたが、決定的な効果がないと見るや...

    [続きを読む](2018.04.26)
  • トーマス・ドルビー『光と物体』1982年作品 トーマス・ドルビーの存在を筆者が知ったのは、恐らく1982年、毎週ラジオで聴いていた番組『アメリカン・トップ40』でシングル「彼女はサイエンス(She Blinded Me With Science)」がかかった時だったと思う。第二次ブリティッシュ・インヴェイジョンの最中で、地元英国ではさほどヒットしなかったこの...

    [続きを読む](2018.04.16)
  • ロンドン時代の集大成 ヨーゼフ・ハイドンの交響曲第104番は、1795年3月から4月にかけて作曲され、同年5月に初演されたとみられている。「ロンドン」という呼び名は作曲者自身によるものではない。おそらくロンドンで作曲されたことから付いたのだろう。しかし、ロンドンで作曲された交響曲はほかにもたくさんあるので、これだけが特に「ロンドン」と呼ばれることに疑問を抱く...

    [続きを読む](2018.04.08)
  • 新たな挑戦 おそらく映画史において、アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』ほど多くの人々によって論じられた作品はほとんど存在しないだろう。この映画は、箝口令が敷かれる中で撮られ、試写会もなく公開された。そして批評家たちの不興を買いつつも、徹底した秘密主義が奏功して大ヒットし、大衆に支持された。その大衆によって、批評家以上の熱量で語られ、分析されたのである...

    [続きを読む](2018.04.02)