2013年1月アーカイブ

モーツァルトの小さな宝石 ザルツブルクの宮廷音楽家として窮屈な思いをしながら働いていた1776年、モーツァルトは多くの機会音楽を作曲した。セレナード「セレナータ・ノットゥルナ」もその中のひとつである。作曲の動機は何なのか、誰のために書かれたのかは明らかにされていない。「セレナータ・ノットゥルナ」というのも、父レオポルトによってモーツァルトの自筆譜に書かれた名...
[続きを読む](2013.01.28)
イヴリン・キング「ラブ・カム・ダウン」(1982年/全米No.17、全英No.7) 去る2012年5月17日に63歳で亡くなった〈ディスコの女王〉ことドナ・サマーは、実のところ、世間から与えられたその称号にかなりの居心地の悪さを感じていたという。ディスコ・ナンバーが彼女をスターダムに押し上げたことは間違いないが、彼女自身、〈ディスコ・シンガー〉の範疇に押し込...
[続きを読む](2013.01.24)
お正月、久しぶりに帰省した際、5年前にできたというショッピングモールに行ってみた。と、そこにある本屋で文庫本が不自然なほど大量に平積みされていた。表紙を見ると、『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』とある。原題は『PEOPLE OF THE LIE』、著者はモーガン・スコット・ペック。人間の心の内側にある邪悪性を扱った書である。 懐かしいと思う人も...
[続きを読む](2013.01.19)
オッテルローが遺した録音で最も有名なのは、ベルリオーズの「幻想交響曲」だろう。名盤といわれるレコードやCDがたくさんある作品だが、その中にあって1951年6月に録音されたオッテルロー盤は、ほかの指揮者と比べて遜色ないどころか、もう60年以上、ひときわ眩しく光っている。「幻想」を聴き込んでいる人ほど、オッテルローの聴かせ方のうまさに唸らされているようである。...
[続きを読む](2013.01.17)
シスターズ・オブ・マーシー『フラッドランド』1987年作品 ゴスっていったい何なのか? バウハウスにザ・キュアー、スージー&ザ・バンシーズなどなど一般的にそう呼ばれている音楽/バンドが大好きなのに、実は自分でも定義はよく分からないでいる。今ざっと挙げた例にしてもそれぞれ音楽性に開きがあるし、当事者が「ゴス」と括られることを嫌うケースも少なくないので、...
[続きを読む](2013.01.13)
美貌と演技力に恵まれた女優は珍しくないが、ヴィヴィアン・リーほどその両方を驚くほど高い水準で備えていた女優は、古今東西見渡してもそうそういない。 ローレンス・オリヴィエは、1935年にヴィヴィアン・リーが出演した舞台『美徳の仮面』を観た時、その「魔法のような容貌」に魅せられつつ、「素晴らしい技巧をほとんど偶然のように見せかけることの出来る天才手品師の誇り」...
[続きを読む](2013.01.09)
憧れの人を想いながら ショパンのピアノ協奏曲第2番ヘ短調は1829年に作曲され、1830年3月17日にワルシャワで初演された。実際は第1番ホ短調より早く書かれたのだが、出版されたのが後になったため、「第2番」となっている。 作曲当時ショパンは19歳。彼はある想いを込めて、この作品の第2楽章を書いた。1829年10月3日に友人ティトゥス・ヴォイチェホフスキ宛に...
[続きを読む](2013.01.04)