2013年9月アーカイブ

シガー・ロス『アゲイティス・ビリュン』1999年作品 フランスのフェニックスやスウェーデンのザ・ナイフといった面々の活躍で、近年のオルタナティヴ・ロック界は随分コスモポリタンな場所になった。とはいえ、彼らはフランス語やスウェーデン語で歌っているわけじゃない。歌詞はもちろん英語。英語以外の言語で歌うアーティストが世界的に広く受け入れられることなど、あの「恋のマ...
[続きを読む](2013.09.28)
アラン・ドロンと組んだ3作品 『サムライ』はアラン・ドロンとの初顔合わせ作品で、メルヴィルの最高傑作と評されることもある。主人公は、鳥と心を通わせる無口な殺し屋ジェフ・コステロ。ドロンにうってつけの役だ。この『サムライ』以降、ドロンは単なる二枚目俳優の枠を越えて、渋味のある名優の仲間入りをしたといえる。 これはスーパーマン的な殺し屋の話ではない。ジェフ・コス...
[続きを読む](2013.09.24)
ベッケルとメルヴィル 長編2作目の『恐るべき子供たち』が公開された後、ジャン=ピエール・メルヴィルは映画界から足を洗う決心をした。1950年のことである。当時、メルヴィルは疲れ切り、力尽きていた。そんな彼を再び映画に向かわせたのは、ジャック・ベッケルだった。「......そんな次第で〈シネアック=テルヌ〉のそばのビストロにいて、まさに出ようという時、店の奥か...
[続きを読む](2013.09.21)
巨人の創造物 交響曲第8番は1884年7月から1887年8月10日の間に作曲された。1884年といえば、ブルックナーが交響曲第7番で大成功をおさめ、キャリアの絶頂期を迎えた年である。彼は60歳になっていたが、その創作意欲は衰えることを知らず、ますます横溢していた。それは同年に完成した『テ・デウム』を聴いてもはっきりと分かるだろう。そして3年後、彼は生涯最大規...
[続きを読む](2013.09.16)竹内仁の立場 竹内は「リツプスの人格主義に就て ー阿部次郎氏のそれを批評する前にー」の中で、テオドール・リップスが理想とした人格の条件について次のようにまとめている。 まず第一に、「それ(人格)を構成する一々の内容(内面的性質)が悉く強烈を極めたもの」であること。「弱小なる内容を有して秩序整然たるを得る『虫も殺さぬ善人』よりも、高き動機と低き動機とがともに強...
[続きを読む](2013.09.14)竹内仁の生涯 竹内仁(たけのうちまさし)は、1898年8月8日、松山に生まれた。評論家の片上伸は14歳上の兄である。1905年5月、6歳の時に母を亡くし、北海道の根室に移住。その後上京して片上家に住み、早稲田中学校を卒業。1916年、仙台の第二高等学校に入学し、竹内家の養子となる。当時から頭脳明晰で知られていた。 1919年、東京帝国大学法学部政治学科に入学...
[続きを読む](2013.09.07)
ペット・ショップ・ボーイズ『哀しみの天使』1987年作品 12枚目にあたる傑作ニュー・アルバム『エレクトリック』を携えて、2013年のサマーソニック・フェスティバルに出演したペット・ショップ・ボーイズ。ニール・テナント&クリス・ロウのコンビは、ロンドン五輪閉会式の演出を手掛けたエス・デヴリンを今回のツアーのクリエイティヴ・ディレクターに起用し、相変わらず斬新...
[続きを読む](2013.09.03)