2016年12月アーカイブ

P.C.L.の看板スターといえば千葉早智子である。彼女は名家の出だが、ただのお嬢様ではない。宮城道雄に箏を教わり、師の代役として尺八の吉田晴風とアメリカ各地で演奏を行った経歴の持ち主である。おまけに美貌にも美声にも恵まれていたのだから、トーキーに移行した映画界から声がかかるのも時間の問題だった。 銀幕にデビューしたのは1933年、22歳のとき。オペラ歌手の...
[続きを読む](2016.12.30)
2016年のモーニング娘。'16は、例年に比べてシングルのリリースが少なく、オリジナル・アルバムも出さなかったが、その一方で、コンサートの内容が驚くほど魅力的だったり、新メンバーが発表されたりと、結成20年を迎える前にポジティヴな変化を感じさせる出来事がいくつかあった。それらのことについて、まとめて書いておきたいと思う。 2016年11月23日に発売された...
[続きを読む](2016.12.24)
テンプル・オブ・ザ・ドッグ『テンプル・オブ・ザ・ドッグ』1991年作品 「スーパーグループ」と言えばご存知、クリームやトラヴェリング・ウィルベリーズのように、別途すでに成功を収めているバンドのメンバー/ソロ・アーティストから成るグループを指す。先頃(2016年)誕生25周年を記念するツアーを行なったこのテンプル・オブ・ザ・ドッグ(以下TOTD)の場合は、「先...
[続きを読む](2016.12.17)
ワルターと私 ブルーノ・ワルターはクラシック音楽を聴きはじめた人の前に、モーツァルトやベートーヴェンの作品の指揮者として現れる。そして、ライナーノーツやレビューに書かれている「温厚な人柄」「モラリスト」といった人物評により、大指揮者には稀な人格者のイメージを植え付けられる。これはワルター受容の一つのパターンと言えるだろう。しかし、そんな人物像を前提にして音源...
[続きを読む](2016.12.11)
木下勝俊は木下家定の子で、小早川秀秋は異母弟にあたる。家定の妹は、豊臣秀吉の正室である北政所。勝俊は当然のように秀吉に仕え、二十代半ばで若狭小浜の城主になった。秀吉に「花歌五十首」と言われたときは一晩で詠み上げるほどの才気をみせたが、歌才には恵まれていても、武将として高い志を抱いていた節はない。秀吉の没後、天下分け目の戦いが近づく中、勝俊は伏見城の留守とし...
[続きを読む](2016.12.03)