2018年8月アーカイブ

異常なものを異常なままに 原題は『PEEPING TOM』。覗き魔という意味である。マイケル・パウエルが監督したこの作品は、アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』と同じく1960年に公開された。どちらも残虐な異常犯罪を扱った内容だが、観客の反応は大きく異なり、『サイコ』は大ヒットし、『血を吸うカメラ』は酷評されてすぐに埋もれてしまった。正当に評価されたの...
[続きを読む](2018.08.29)
ピーター・ガブリエル『So』1986年作品 もちろん「ソールズベリー・ヒル」を始め代表曲は知っていた。でも、あのヒプノシスが手掛けたジャケットの怖さのせいか、タイトルがないという奇妙なこだわりのせいか、本作に至るまでピーター・ガブリエルの作品をちゃんと聴いたことがなかったが、そういう人間が筆者だけではなかったことは、数字が如実に物語っている。1975年にジェ...
[続きを読む](2018.08.23)
サー・エイドリアン・ボールトはイギリスが生んだ大指揮者で、ホルストの『惑星』の非公式初演、ヴォーン・ウィリアムズの田園交響曲や交響曲第4番の初演を任された人物として知られている。世界最長の交響曲と言われるハヴァーガル・ブライアンの交響曲第1番「ゴシック」のプロ演奏家による正式初演で指揮を務め、成功に導いたのもボールトである。同時代のイギリス音楽を世に紹介し...
[続きを読む](2018.08.15)
ミイラが誕生するまで トーキー初期の怪奇映画といえば、まず『魔人ドラキュラ』(1931年)と『フランケンシュタイン』(1931年)を挙げないわけにはいかない。どちらもユニバーサルで製作されたエポックメイキングな傑作で、公開時に大成功を収め、モンスター映画ブームを巻き起こした。 『魔人ドラキュラ』の原作はブラム・ストーカー、『フランケンシュタイン』はシェリー...
[続きを読む](2018.08.10)
1968年は怪奇映画・怪談映画が豊作だった年で、『怪談バラバラ幽霊』、『怪談おとし穴』、『怪談 蛇女』、『怪猫 呪いの沼』、『吸血鬼ゴケミドロ』、『蛇娘と白髪魔』などが次々と公開された。『ゲゲゲの鬼太郎』がアニメ化されて人気を博し、いわゆる〈妖怪シリーズ〉の『妖怪大戦争』、『妖怪百物語』が観客を集めた年でもある。 山本薩夫監督の『牡丹燈籠』も同年の上映作品...
[続きを読む](2018.08.04)