2019年3月アーカイブ

  • 神秘と謎解きの物語 『エクソシスト』(1973年)は、単なるホラー映画ではない。かつてウィリアム・フリードキン監督は「信仰の神秘を描いたもの」と語り、原作者のウィリアム・ピーター・ブラッティは「超自然的な謎解きの物語」と語った。多くの人によって考察された傑作には、まだ解き明かすべき何かがある。 これから書くことは、この二年間、繰り返し鑑賞して得た自分の考えを...

    [続きを読む](2019.03.25)
  •  春になると家持の歌を読みたくなり、本棚から『万葉集』を取り出す。私が好きなのは、巻第十九に収められた三首だ。そのうち二首は天平勝宝5年(753年)の2月23日(太陽暦4月5日)に、一首は2月25日(太陽暦4月7日)に作られている。  二十三日に、興に依りて作る歌二首 春の野に 霞たなびき うら悲し この夕影に うぐひす鳴くも(春の野に霞がたなびいていて物悲...

    [続きを読む](2019.03.17)
  • 署名入りのモテット ジョスカン・デ・プレは1440年頃おそらく北フランスに生まれ、1521年8月27日にコンデ=シュル=レスコーで亡くなったルネッサンス期を代表する作曲家である。1440年といえば、ジャンヌ・ダルクが火刑に処せられてまだ9年しか経っていない。ずいぶん昔の人のように思えるが、ジョスカンの作品はそれから何世紀もの間、多くの作曲家のように一度埋もれ...

    [続きを読む](2019.03.02)