2021年1月アーカイブ

  •  幼い頃、田舎の実家に行き、薄暗い廊下から2階へと続く狭い階段を見上げたとき、何か不思議なものを見るような感覚に襲われた。それはコンクリートのマンションに住んでいた私にとって、日本家屋の2階というものを意識した初めての体験だった。私は何とも言いようのない違和感を抱き、階段から目を背けた。その違和感は8歳くらいから好奇心に変わったが、それまで2階というのはちょ...

    [続きを読む](2021.01.27)
  • ドリー・パートン『My Tennessee Mountain Home』1973年作品 ドリー・パートンというアーティストは、日本でどう受け止められているのだろうか。そもそもカントリー・ミュージシャンというだけで多くの人にとっては縁遠いし、故ホイットニー・ヒューストンが歌った「オールウェイズ・ラヴ・ユー」が元々ドリーの曲であることも、あまり知られていないよう...

    [続きを読む](2021.01.17)
  • リヒテルのプロフィール 1955年、戦後初めて鉄のカーテンを越えて訪米したソ連のピアニスト、エミール・ギレリスは、各地でセンセーションを巻き起こし、絶賛された時、こう言ったという。「私のことを褒めるのは、リヒテルの演奏を聴くまで待ってください」ーーこれはギレリスの人柄を表すエピソードであり、2人の優劣を示すものではないが、この発言から西側におけるリヒテル伝説...

    [続きを読む](2021.01.08)
  •  昔のハリウッド映画のヒーローというと、逞しさと強引さが売りのタフガイを連想しがちだが、実際はスマートでソフトな優男も大勢いた。ジェームズ・スチュワートはそのうちの一人であり、代表的な存在である。彼の繊細そうな表情、穏やかで明るい雰囲気、健康的で愛すべき軽妙なキャラクターは、アメリカの老若男女の心を掴んだ。 主演作は1930年代から60年代まで沢山ある。傾向...

    [続きを読む](2021.01.04)