2023年11月アーカイブ

  • トロイ・シヴァン『ブルー・ネイバーフッド』2015年作品 10年近い年月が経っているのだから当然なのかもしれないが、「隔世の感だな」というのは、先頃リリースされたばかりの『Something to Give Each Other』と『Blue Neighbourhood』ーーつまり、トロイ・シヴァンの最新作と本デビュー作を聴き比べての感想だ。思い切りダンスポ...

    [続きを読む](2023.11.25)
  • 貫之の「べらなり」 『土佐日記』は、紀貫之が女性になりすまして書いた日記文学である。ただの日記ではない。仮名で書かれた旅日記である。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとするなり」という冒頭文があまりにも有名で、それ以外は知らないという人が多いかもしれないが、無論それだけの作品ではない。日記中に収められた歌は58首(引用歌を含む)、登場する人物の歌才に...

    [続きを読む](2023.11.16)
  • 「嘆きの歌」から輝かしい結末へ ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番は、1821年から1822年にかけて作曲された。自筆譜に記された完成日は、1821年12月25日。そこから修正作業を行い、1822年初春まで第3楽章に手を入れていたようである。献呈相手としては、パトロンだったフランツ・ブレンターノの夫人アントーニエか、弟子のフェルディナント・リースが予定さ...

    [続きを読む](2023.11.05)