2024年2月アーカイブ

  • 私観 古井由吉の小説は、簡単には掴みきれない。時折、何を読んでいるのか分からなくなることがある。 2008年に発表されたエッセイ「招魂としての読書」によると、古井は読んだ本のことをすぐに忘れるらしい。「読んだ事に感嘆させられるほどに、後で綺麗に忘れる、という気味すらある。三読四読して長大息までしていたのに、机の前から立って十歩と行かぬうちに、はて、何のことだ...

    [続きを読む](2024.02.26)
  • バナナラマ『Bananarama』1984年作品(邦題『愛しのロバート・デ・ニーロ』) 先日1980年代の英国の音楽番組について調べていた時に、偶然バナナラマが当時の人気番組『Top of the Pops』で「Shy Boy」を披露する1982年の映像に行き着いた。ヘタウマと言ったら失礼かもしれないが、脱力系のパフォーマンスを見ながら、本当にスペシャルなガ...

    [続きを読む](2024.02.21)
  • 特別な雰囲気 クララ・ハスキルはルーマニア出身のピアニストで、モーツァルト弾きとして定評があった。幼少期から才能を発揮していたが、病気等に悩まされて思うようにキャリアを積めず、実際に大きな注目を浴びたのは戦後、50歳を過ぎてからのことだった。 ハスキルのピアノの特徴を一言で表現するのは難しい。あっと言わせるような解釈があるわけでも、絢爛たる技巧があるわけでも...

    [続きを読む](2024.02.06)