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  • 血となり肉となる文学 中島敦の『光と風と夢』は、作家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの日記という体裁で書かれている。しかし、その言葉はあくまでも中島自身のもの、彼の思想ないし信条の投影である。「私は、小説が書物の中で最上(或いは最強)のものであることを疑わない。読者にのりうつり、其の魂を奪い、其の血となり肉と化して完全に吸収され尽すのは、小説の他にない」 ...

    [続きを読む](2019.12.28)
  • 生活のリアリティ 織田作之助は19歳の時、三高の『嶽水会雑誌』に発表した初の評論「シング劇に関する雑稿」の中で、「単なる観念でも、象徴でもない、リアリティとは、我々の認識せるものの姿である。これを表現するところにリアリズムの頂点がある」と書いている。この考えは織田が常に意識していた汎用的指針であり、登場人物の思想や信条よりも生活について細かく書くのは、彼にと...

    [続きを読む](2015.05.16)
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