タグ「高山樗牛」が付けられているもの

  •  苦悶その物が生命である。これは岩野泡鳴が1906年に発表した評論『神秘的半獣主義』の中に出てくる言葉だ。泡鳴に言わせると、苦悶とは解決できるものではなく、これを解決しようとするのは、悲劇を喜劇に堕落させることであり、「無終無決の苦悶を活現してこそ、初めて真の悲劇」となるのだった。 泡鳴はその主義を血肉とする小説を書いた。悲劇といっても、彼のそれはお涙頂戴も...

    [続きを読む](2017.02.25)
  •  高山樗牛は美文で鳴らした明治の評論家で、生前大いに注目を集めたが、若くして健康を害し、1902年に31歳で亡くなった。現在では、坪内逍遥、森鴎外、内村鑑三に噛みついていた論争家、匿名で『瀧口入道』を書いた小説家、圧倒的な美文家として、文学史に名をとどめている。 樗牛を美文家と評するとき、そこには「文章は美しいけど思想は浅い」という皮肉もしばしば含まれる。没...

    [続きを読む](2016.04.30)
1