2015年4月アーカイブ

スパンダー・バレエ『トゥルー』1983年作品 ヒット曲を書いてスターになってやる!と野心を持つことが、ロック界ではカッコ悪いと見做されるようになったのは、ニルヴァーナが登場してアメリカのオルタナティヴ・ロックが台頭してからだろうか。1980年代までは、いわゆる「セルアウト」というコンセプトはなかった気がする。殊に階級社会の英国では、ワーキング・クラスの若者が...
[続きを読む](2015.04.23)反骨精神の人 ジョセフ・ロージーは赤狩りの時代にアメリカを追われ、イギリスで問題作を次々と発表した監督である。いわば反骨精神の塊のような人。マッカーシズムの犠牲者というレッテルは似合わない。その作品は、観る者をスカッとさせるタイプのものではなく、毒に満ちている。とにかく後味の悪い映画が多い。にもかかわらず、観たくなる。言ってみれば、その毒には偽善的な社会や微...
[続きを読む](2015.04.16)
ピアノ・ソナタの詩情 シューベルトのピアノ・ソナタの中で最高傑作と評されることが多いのは、第21番である。これに対して異論を唱える人はほとんどいないだろう。私自身も最初はこの晩年の作品に魅了され、シューベルトのピアノ・ソナタを聴くようになった。ただ、私が無性に惹かれたのは第21番の第1楽章であり、ほかの楽章がそこまで自分の心に深く浸潤したかというと、やや疑わ...
[続きを読む](2015.04.10)
子供の時分、坊主めくりで遊んでいた人にとって、蝉丸はなじみのある「坊主」だろう。その歌も覚えやすく、簡単に諳んじることができる。私自身、最初に覚えた短歌は蝉丸のものである。これやこの行くも帰るもわかれては知るも知らぬも逢坂の関 蝉丸は平安時代の人だが、生没年は不明。謡曲『蝉丸』の中では、醍醐天皇の第四皇子とされている。一方、『今昔物語集』の巻第二十四に収録...
[続きを読む](2015.04.04)