2015年12月アーカイブ

カイリー・ミノーグ『インポッシブル・プリンセス』1997年作品 それはマネージャーなのかプロデューサーなのか、はたまたレコード会社なのか、パワフルな後ろ盾を得て大成功を収めたものの、だんだん他人にコントロールされることを窮屈に感じて、ついには〈独立〉を宣言するーー。以前取り上げたマライア・キャリーの『バタフライ』はまさにそういう独立宣言だったし、ベイビーフェ...
[続きを読む](2015.12.25)
2015年9月19日にスタートした「モーニング娘。'15 コンサートツアー秋 〜PRISM〜」は、途中で鞘師里保の卒業発表があり、後半から卒業コンサートツアーの意味合いも兼ねるような形になったものの、動揺がステージ上で乱れを生む場面は(私が観たところでは)なかったと言っていい。改めてその期間を振り返ると、「よくあんな凄いコンサートができたな」という気持ちに...
[続きを読む](2015.12.19)
簡潔さの中に宿る情熱、あるいは嵐の予感 「ロシア四重奏曲」はヨーゼフ・ハイドンが1781年に完成させた全6作からなる弦楽四重奏曲集で、作曲家本人の言葉を借りれば「全く新しい特別な方法で作曲された」自信作である。作品番号で言うと33。弦楽四重奏曲第37番は、この作品集の1作目にあたるので「op.33-1」となる。ホーボーケン番号では弦楽四重奏曲は「III」に括...
[続きを読む](2015.12.15)
2011年1月2日にモーニング娘。に加入した鞘師里保が、2015年12月31日にグループを卒業する。17歳の決断である。ブログ上で卒業が発表されたのは2015年10月29日のこと。この突然の出来事についてはすでに多くの記事が書かれており、本人へのインタビューも行われているので、今さら何か書いても、という気がしなくもないが、やはり自分が感じたことは記しておこ...
[続きを読む](2015.12.12)
マーガレット・ロックウッドは1940年代のイギリス映画を代表する女優である。当時、悪の魅力を撒き散らしたジェームズ・メイスンがゲインズボロー・ピクチャーズの王座にあるとするならば、ロックウッドは王妃の座にある。美貌も演技力も満点と言っていい彼女は、『バルカン超特急』(1938年)のヒロインとして名を馳せた後、『灰色の男』(1943年)や『妖婦』(1945年...
[続きを読む](2015.12.08)
ローリン・ヒル『ミスエデュケーション』1998年作品 本来なら、ビヨンセやアリシア・キーズを遥かに凌ぐアーバン音楽界のトップ・ミュージシャン......いや、ジャンルにかかわらずアメリカを代表するシンガー・ソングライターになっていたはずだった。当時女性としては史上最多の5つのグラミー賞をローリン・ヒルにもたらしたソロ・デビュー作『ミスエデュケーション(原題T...
[続きを読む](2015.12.01)