2016年7月アーカイブ
女優と詩人 女優の扱いは巧かったようで、フランソワーズ・ロゼーに始まり、ミシェル・モルガン、アナベラ、アルレッティ、マリー・デア、シュザンヌ・クルーティエ、シモーヌ・シニョレ、パスカル・プティ、アニー・ジラルドといった、そうそうたる名女優・人気女優の代表作がカルネによって撮られている。日本で言えば、女優を撮る達人だった吉村公三郎的なポジションに近いかもしれな...
[続きを読む](2016.07.30)
フランス精神よりも男女の愛 『危険な曲り角』(1958年)の中に、若者たちがシネマテークでルドルフ・ヴァレンティノの『血と砂』(1922年)を観に行くシーンがある。彼らはポスターを観て、「なぜこんな男がモテたのか」「まるでタンゴダンサーだ」「でもジェームズ・ディーンだって古くなるだろ」「そんなことはない」といった会話を交わし、ヴァレンティノのドラマティックな...
[続きを読む](2016.07.28)
スーパー・ファーリー・アニマルズ『ファジー・ロジック』1996年作品 先頃終幕したUEFA欧州選手権で歴史的な大健闘を見せて、世界を沸かせたウェールズ。サッカー大国として一気に注目度を上げたが、シャーリー・バッシーやトム・ジョーンズの名を挙げるまでもなく、音楽シーンの豊かさはかねてから広く知られているところだ。よって、58年ぶりに出場を決めたチームの健闘を祈...
[続きを読む](2016.07.23)
モーニング娘。'16にとって2016年の前半は、一つの楽曲と現メンバーの相性がぴたりと合ったことにより、俄に勢いづいた期間だと言えるかもしれない。「今のモーニング娘。」のカラーを打ち出す上で、また、鞘師里保、鈴木香音とメンバーが立て続けに卒業する淋しさを吹き飛ばす上で、その楽曲は大役を果たしたのだ。 「泡沫サタデーナイト!」がラジオで初オンエアされたのは2...
[続きを読む](2016.07.16)
円熟前の傑作 ベートーヴェンの交響曲第2番は、第8番と並び、語られることの少ない作品だ。しかし、ここには第3番「英雄」以降の作品にはない円熟前の魅力があり、青年らしい生気がある。端的に言えば、円熟した人間には書けない傑作である。「私はこの作品の中に、誰一人取り戻すことのできない快活な青春時代を、そして、欠点を除去しようとすればたちまちのうちに逃げ去ってしまう...
[続きを読む](2016.07.10)
アイダ・ルピノはハリウッドきっての才女で、演技の勘も表現力も抜群、映画監督としての腕前も確かだった。容姿でも演技でも歌でも演出でも人を惹きつけたその魅力と才能は、「ルピノ・ファミリー」として知られたイタリア系の宮廷芸人の血筋によるものかもしれない。 イギリスでデビューしたのは13歳の頃。16歳でハリウッドへ進出し、『PETER IBBETSON』(1935...
[続きを読む](2016.07.02)