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  •  美貌と演技力に恵まれた女優は珍しくないが、ヴィヴィアン・リーほどその両方を驚くほど高い水準で備えていた女優は、古今東西見渡してもそうそういない。 ローレンス・オリヴィエは、1935年にヴィヴィアン・リーが出演した舞台『美徳の仮面』を観た時、その「魔法のような容貌」に魅せられつつ、「素晴らしい技巧をほとんど偶然のように見せかけることの出来る天才手品師の誇り」...

    [続きを読む](2013.01.09)
  •  言葉を封じ込めようとする力の世界で、エアロンだけは別格的存在として扱われている。彼は言葉を武器にして、相手をとことん挑発する。誰もこの悪魔を黙らせることはできない。彼の邪悪ぶりが最も明確にあらわれているのは、「それだけ凶悪なことをしてきて、後悔していないのか」とルーシアスに問われた後の答えだろう。「後悔してるよ。もっとやっておけば良かったってな。今でも呪っ...

    [続きを読む](2012.09.01)
  • 「俺はいま不意に不可思議な恐怖に襲われた。冷たい汗がにじみ出し、手足がぶるぶる震えている。俺の心は目に見える以上の何かを感じている」 これはシェイクスピアが書いた最も残虐な悲劇といわれる『タイタス・アンドロニカス』の第二幕第三場、タイタスの息子クインタスが発する台詞である。初めてこの戯曲を読んだ時、私は森の場面のページを繰る直前に、クインタスと同じような心境...

    [続きを読む](2012.08.25)
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