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  •  山村聰は俳優として多くの映画に出演しただけでなく、一時は監督としても注目を浴びていた。その点で、歳の近い佐分利信と比較されることもあったが、2人を並べて語るのは難しい。佐分利は戦前から硬派の大スターだった人であり、キャリアの面でも、持ち味の面でも、山村とは異なる。 山村は1910年生まれ。東京帝国大学独文科を卒業後、大阪で演劇の道に進み、「二年足らずで、井...

    [続きを読む](2016.10.01)
  •  高度経済成長期の日本を生きる人々。その欲望のドラマをサスペンスフルに描いた大映の「黒シリーズ」中、最も有名な作品は、やはり第1弾を飾った『黒の試走車』(1962年)だろう。梶山季之の原作をもとに、自動車業界の内幕、産業スパイを描いたこの映画は、強引なストーリー展開さえも魅力の一つにしてしまう増村保造の簡勁な演出と、田宮二郎や叶順子といった役者陣の魅力に支え...

    [続きを読む](2012.06.27)
  • シネフィルが愛する『赤い天使』 ところで、増村の代表作は何になるのだろう。 映画の解説文などを書いている時、代表作を1、2本挙げながら人名を紹介することがしばしばある。例えば「『ローマの休日』『ベン・ハー』のウィリアム・ワイラー」とか、「『戦場にかける橋』『アラビアのロレンス』のデヴィッド・リーン」といった風に。このように単なる好悪の感情を超えて、誰にも否定...

    [続きを読む](2011.11.18)
  • 「ボーイ・ミーツ・ガール」の聖典、『くちづけ』 増村保造の監督デビュー作『くちづけ』は、それまで未知の存在だった男女が出会い、恋に落ちるまでの運命的な2日間をスピーディーかつダイナミックに描いた青春映画である。人物描写も増村らしくシャープで、冗漫さは一切なく、わずか74分という時間の中、青春の光と影がせわしなく交錯する。解放感に満ちたロケーションと躍動的なカ...

    [続きを読む](2011.11.16)
  •  僕はクエンティン・タランティーノと非常に気が合う。彼と会ったことはないのだが、絶対に仲良しになれると勝手に思っている。なにしろ彼の作品の元ネタは、僕の好みに合うものばかりなのだから。彼が映画を撮る度に挙がる元ネタは、僕にとって最高の映画ガイドとなっている。『女囚さそり』シリーズとの出会いも、タランティーノによってもたらされた。「『キル・ビル』の元ネタだから...

    [続きを読む](2011.10.14)
  •  若尾文子は手の届かない「低嶺(ヒクネ)の花」である。親しみやすく、誰にでも手の届きそうな雰囲気があるのに、周囲を見回しても、彼女のような女性を見つけることはまずできない。どこにでもいそうで、絶対にいない。それが、最初から縁がないと諦めることのできる「高嶺の花」に対するよりも、ある意味、烈しい渇望へとつながる。こんな恋人がほしい、こんな奥さんがほしい、こんな...

    [続きを読む](2011.02.10)
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