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  •  ロジェ・マルタン・デュ・ガールの長編小説『チボー家の人々』のクライマックスをなす『1914年夏』は、市民が戦争の波に押し流されるまでの過程を鋭い目線でとらえているだけでなく、一つの大戦を成立させるメカニズムを心理的側面から生々しく浮き彫りにした文学として、今日の読者にも強い印象を与える。私たちは登場人物たちの言動を他人事とは思えないだろうし、自分ならどうす...

    [続きを読む](2014.09.27)
  •  『狭き門』や『チボー家の人々』の翻訳で知られる仏文学者、山内義雄のエッセイ集『遠くにありて』の中に、「書籍の周囲」と題された短い文章がある。自身の読書愛を吐露した内容で、それによると、疎開先が空襲で焼けて書物を失い、4日間読書することなく過ごしたことがあるという。その「外から強いられた、何とも抗いようのない空白」について、山内は次のように書いている。「私は...

    [続きを読む](2012.07.28)
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