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  • 『木石』と『新雪』 1940年代の作品には、舟橋聖一原作の『木石』(1940年)、藤澤恒夫原作の『新雪』(1942年)などがある。『木石』は伝染病の研究所が舞台で、いつもの庶民派映画という感じはしない。ただ、『木石』で赤木蘭子扮する厳格な女性は、「悪意のない身勝手な男により、苦しい思いをする女」という五所作品らしい女性像に当てはまる。 その後、五所は大映に移...

    [続きを読む](2020.09.18)
  • 『マダムと女房』と『伊豆の踊子』 五所平之助はロケ先でキャラメルや南京豆、焼き芋を買い込んで、皆と一緒に食べることを好んだという。特に好物だったのが焼き芋で、その理由について、「私は焼いもの庶民的な土の香りが好きで、栗より美味いという、素朴な、心をゆたかにうるおしてくれる母心のような風味は忘れられない」(「焼いもとドーナッツ」)と書いている。 そんな彼自身の...

    [続きを読む](2020.09.12)
  •  桑野通子は1934年から12年間、映画界で活躍した松竹のトップスターである。その美貌と抜群のプロポーションは映画界に入る前から注目の的だったようで、三田高等女学校を卒業した後、森永製菓の初代スウィート・ガールとして活動し、赤坂溜池のダンスホール「フロリダ」のダンサーに転身、客が押し寄せるほどの売れっ子になった。後に共演し、ロマンスを噂されることになる上原謙...

    [続きを読む](2015.07.03)
  • 溝口作品が置かれた状況 溝口健二監督の作品は半分以上現存していないと言われている。初期の『813』(1923年)や『血と霊』(1923年)はもちろん、サイレント時代に高く評価された『紙人形春の囁き』(1926年)も『狂恋の女師匠』(1927年)も観ることはできない。同時代人による論評とスチル写真から、どんな映画だったのか想像をふくらませるほかないのだ。サイレ...

    [続きを読む](2014.09.20)
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