2013年6月アーカイブ

  •  それまで応援していたアイドルが、何かの出来事をきっかけにこちらの予想を超えるレベルで輝きだす時、人は驚きと感動を覚えると共に、ある種戸惑いにも似た感覚に陥り、自分だけがこのアイドルの真の魅力を一番分かっているのだ、というひそかな思い込みが終息するのを感じとる。「カックラキン大放送!!」で高田みづえが「そんなヒロシに騙されて」を歌った時、私は人生で初めてそう...

    [続きを読む](2013.06.29)
  • ハイドン入門 1793年から1794年の頭にかけて作曲された「軍隊」は、「驚愕」と共に、数多あるハイドンの交響曲の入り口に控えている曲である。多くの人は、これらの作品からハイドンの音楽の森の中に足を踏み入れていく。ちなみに、「軍隊」という呼称はザロモン・コンサートでの初演時から使われているもので、第2楽章で打楽器(大太鼓、シンバル、トライアングル)が軍楽風に...

    [続きを読む](2013.06.25)
  • 『ディーバ』に魅せられて たとえば知り合いに「何か面白い映画はないか」ときかれたら、あなたは何の作品を挙げるだろうか。しかも、相手は映画に詳しくなく、なおかつ自分と親しいわけでもない。こういう時、私はかなりの頻度で『ディーバ』(1981年)と答えてきた。ストーリーが凝っていて、テンポが良く、お洒落で、ロマンティックで、ほどほどにスリルがあり、長すぎず、古すぎ...

    [続きを読む](2013.06.20)
  •  高野素十は純写生派の俳人である。『ホトトギス』で活躍していた頃は、いわゆる「四S」の1人として、水原秋桜子、山口誓子、阿波野青畝としのぎを削っていた。ちなみに「四S」という呼称は、1929年に山口青邨が、「この四人は何と言っても今日俳壇の寵児であり流行児であります。東に秋素の二Sあり! 西に青誓の二Sあり!」 といったのを、高濱虚子が「東西の四S」と換言し...

    [続きを読む](2013.06.15)
  • 「ジダーノフ批判」の時期に生まれた傑作 ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番は1947年夏から1948年3月24日の間に作曲された。この時期(1948年以降)、彼はいわゆる「ジダーノフ批判」にさらされていて、作品が演奏禁止になったり、教職を解かれたり、自己批判を強要されたりしていた。 「ジダーノフ批判」というのは、アンドレイ・ジダーノフ主導による言論...

    [続きを読む](2013.06.10)
  • サークル・ジャークス『グループ・セックス』1980年作品 初期LAハードコア・シーンを代表するパンク・バンドのサークル・ジャークスが、結成から1年足らずの1980年にリリースしたデビュー作である。ロックの歴史を変えた作品ではないかもしれないが、アメリカン・ハードコア最初のアルバムの一枚だから、マイナー・スレットをはじめとして当時から現在まで影響を口にするバン...

    [続きを読む](2013.06.05)