文化 CULTURE
  • 「続悪魔」は、神経衰弱が悪化しているところから始まる。「癲癇、頓死、發狂などに對する恐怖が、始終胸に蟠つて、其れでも足らずに、いやが上にも我れから心配の種を撒き散らし、愚にもつかない事にばかり驚き戦きつつ生をつづけて居」る佐伯は、反面、「高橋お傳」「佐竹騒動妲妃のお百」といった毒婦物の講釈本を読み、恐怖に敏感な神経を麻痺させるような血なまぐさい幻想を堪能して...

    [続きを読む](2016.06.11)
  • 谷崎潤一郎の初期作品「悪魔」と「続悪魔」は、強迫観念に支配された人間の心理を真正面から扱った作品である。前者は明治45年2月の『中央公論』(原題は旧字で「惡魔」)、後者は大正2年1月の『中央公論』(原題は旧字で「惡魔(續篇)」)に掲載された。「The Affair of Two Watches」(『新思潮』明治43年10月)にも「激しいHypochondri...

    [続きを読む](2016.06.04)

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