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  • 代表作は『イヴの総て』 ファンを装って大女優に近付き、従順な付き人になるが、やがて本性を現し、周囲の恩人たちを踏みつけて成り上がる女。この女にはモラルのかけらもなく、良心もない。あるのは飽くなき野心と才能のみ。彼女の名前はイヴ・ハリントン。1951年の映画『イヴの総て』の登場人物である。 イヴ(アン・バクスター)はまず大女優マーゴ(ベティ・デイヴィス)の友人...

    [続きを読む](2022.09.14)
  • 男は破滅へ一直線 ジョーン・ベネットといえば男の人生を狂わせる運命の女、ファム・ファタールである。その大きな瞳は清純で優しそうだが、どこか頼りなげだ。それを見た男は、女のために何かしてあげたいと思うだろう。すると、たちまち彼女の眼差しは妖艶さを帯びて男の心を掴み、手玉に取ってしまう。そうなったら男は破滅へ一直線だ。 危険なファム・ファタールが登場するのは、『...

    [続きを読む](2022.04.12)
  •  猫のような雰囲気を持つ女優というと、フランソワーズ・アルヌールやブリジット・バルドー、あるいはもっと後年のナスターシャ・キンスキーあたりが思い浮かぶ。彼女たちに共通しているのは、男を虜にする性的魅力の持ち主であることだろう。この系譜の元祖が誰になるのかは分からないが、1930年代に登場した一人の女優を避けてさかのぼることはできない。彼女の名前はシモーヌ・...

    [続きを読む](2019.05.21)
  • 『赤い手のグッピー』の潔癖性 戦時下のフランスで本格的に監督デビューし、大きな注目を集めた天才といえば、ほかにロベール・ブレッソンとアンリ=ジョルジュ・クルーゾーがいる。21世紀の今日に至るまでのフランス映画史を見渡しても、際立って個性的かつ異常な才能を持つ3人がほぼ同時期に世に出てきた、というのは興味深い。その中で、ベッケルは「犯罪映画」を得意にしながらも...

    [続きを読む](2013.07.31)
  • 遺作にして最高傑作と評される『穴』 ジャック・ベッケルは第二次世界大戦中の1942年に監督デビューし、ヌーヴェルヴァーグ真っ只中の1960年に53歳で亡くなった。18年の間に発表したのは13作品。そのほとんどが傑作として評価され、多彩な作風でゴダールやトリュフォーなど若き映像作家たちに刺激を与えた。実際のところ、彼の代表作をひとつに絞ることは不可能に等しい。...

    [続きを読む](2013.07.29)
  •  ルキーノ・ヴィスコンティの映画はしばしば「絢爛たる」とか「格調高い」と形容される。しかし、クラシカルな雰囲気を漂わせた外観の内側には、秩序のないエネルギーが散乱している。多くの古典がそうであるように、彼の映画もまた現代的な「おさまりの良さ」を知らない。そこが魅力である。 その作品は、全体のまとまり具合や演出の巧みさで語られるより、美学の観点から語られる方が...

    [続きを読む](2011.06.15)
  •  ジャン・ルノワールほど善悪の基準というものを意に介さず人間という生き物を描き続けた監督はいない。人間は善悪で簡単に割り切れるものではない、と彼の作品は語っている。勧善懲悪もあり得ない。理屈よりも感情、道徳よりも官能、規律よりも解放、といった調子である。 ルノワールの映画はとにかく画が美しい。高名な画家である父オーギュスト・ルノワールの影響もあるのだろう。自...

    [続きを読む](2011.05.25)
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