2013年8月アーカイブ
高峰三枝子は筑前琵琶の高峰流宗家、高峰筑風の長女として生まれた生粋のお嬢様である。17歳の時、父親が亡くなり、家族を養うために映画界入りを決意。1936年に女優デビューし、やがて昭和を代表する名女優になり、半世紀以上にわたって活躍した。「歌う女優」としても有名で、「山の淋しい/湖に/ひとり来たのも/悲しい心」の歌詞で知られる大ヒット曲「湖畔の宿」は彼女の持...
[続きを読む](2013.08.29)
「DSCH」の宣言 ショスタコーヴィチの交響曲第10番は、1953年の夏から秋にかけて作曲され、同年12月17日に初演された。1953年といえばスターリンが亡くなった年である。1948年以降、「ジダーノフ批判」にさらされていたショスタコーヴィチが8年ぶりに交響曲を作曲したのは、おそらく圧政者の死に触発されたためだろう。ただ、この作品をスターリンとスターリンの...
[続きを読む](2013.08.24)
ジミー・ラフィン『シングス・トップ10』1967年作品 一聴しただけではそれほど惹かれないが、何度も聴いているうちに味わい深さが増し、気が付けばその歌声に耽溺してしまっている自分に気付くーーそういう気持ちにさせてくれるシンガーはそれほど多くはない。筆者にとってのジミー・ラフィンとは、まさにそういうシンガーである。彼の歌声をひと言で表現するなら(決してファース...
[続きを読む](2013.08.20)
1956年に製作された日活のミュージカル映画『お転婆三人姉妹 踊る太陽』で、芦川いづみは三姉妹の次女・夏子に扮している。その夏子が、寝る前に神様にお願いをするシーンがある。「神様、夏子に絶世の美貌を与えたまえ。エリザベス・テイラーのような瞳とグレイス・ケリーのような鼻とキム・ノヴァクのような唇、そしてジェームズ・ディーンのような恋人を」 実際の芦川いづみが...
[続きを読む](2013.08.15)
テンプテーションズ「雨に願いを」(1967年/全米No.4) 2013年の日本の気候、取り分け梅雨前後のそれが異常を超越して各地で尋常ならざる事態になっている。7月初旬に関東で早々に梅雨が明けて以来、酷暑(による熱中症患者)、豪雨(による甚大な被害)に関するニュースを見聞きしない日は一日たりともない。酷暑に見舞われている関東以南とは裏腹に、東北地方は冷夏の様...
[続きを読む](2013.08.11)
教員志望の同級生に誘われて、塾講師をしていたことがある。1994年4月から1996年3月までの約2年間の話だ。 中学2年生と中学3年生の国語のクラスを受け持っていた。生徒は各16名。授業時間は90分で、1日2コマ。時給は2600円、辞めた時は2900円だった。当時住んでいたアパートから車で50分という遠い場所にあったが、ちょっとした夕食付きだったこともあり...
[続きを読む](2013.08.10)
アイデンティティーの結晶 スイス生まれのユダヤ人作曲家、エルネスト・ブロッホはエミール=ジャック・ダルクローズに作曲を学び、一時期はヴァイオリニストのウジェーヌ・イザイにも師事していた。作曲家として知られるようになったのは30歳の時、ロマン・ロランにオペラ『マクベス』を認められてからで、それまではジュネーヴの時計屋で働きながら、余暇を作曲活動や指揮活動にあて...
[続きを読む](2013.08.07)
ルー・リード『トランスフォーマー』1972年作品 パンク以降の〈ギター・ロック〉に影響力絶大なバンドのヴェルヴェット・アンダーグラウンドのリーダーだったにもかかわらず1970年に脱退したルー・リード(vo、g)が、その2年後にリリースしたセカンド・ソロ・アルバムである。クールに見えてやんちゃで挑戦的だからムラ(≠ブレ)が多く、地雷盤も作ってきたルーのソロ活動...
[続きを読む](2013.08.04)