
匠の森
不滅の指揮者・演奏家20世紀は「指揮者」と「演奏家」の時代と言われる。
神がかった才能と魔物のような個性を持った表現者が続々と現れ、聴衆を魅了した世紀。
ここではそのうち何人紹介することが出来るかわからないが、
なるべく濃い密度で、音楽の「匠」たちのプロフィールと遺産を紹介していきたい。
文●阿部十三
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アンセルメは原典主義者ではなく、必要に応じて総譜を修正・変更していた。作曲家は幅広い解釈の余地を解釈者に委ねるものだ、というのが彼の持論だった。指揮者は作曲家の奴隷ではない。適切な解釈を行い、指揮者自身の意見を伝えなければならないとも主張していた。これは若い頃、ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキーといった人たちと意見交換を行い、自分の提案を受け入れても...
[続きを読む](2023.04.14) -
エルネスト・アンセルメはスイス出身の名指揮者で、ストラヴィンスキーの『兵士の物語』、『結婚』、『プルチネルラ』、『狐』、ファリャの『三角帽子』(舞台版)、サティの『パラード』などの世界初演を務めたことで知られる。『春の祭典』の再演を大成功へと導いた立役者の一人でもある。広範なレパートリーの中では、特にバレエ音楽の指揮に定評があり、「バレエ音楽の神様」と呼ばれ...
[続きを読む](2023.04.05) -
天才のなかには練習嫌いが少なからずいるが、ルドルフ・ゼルキンは練習魔で、毎日何時間もピアノに向かっていた。まず非常に遅いテンポでスケール練習を行い、時間をかけて徐々にテンポを速め、最終的に最速で弾くのがお決まりだった。何度も演奏したことがある曲でも、手を抜かずに練習をくり返した。それはもはや練習というより、音楽に奉仕する儀式だったのかもしれない。グレン・グー...
[続きを読む](2023.02.04) -
アルテュール・グリュミオーの名前と共に思い浮かぶのは、究極の美音である。その音は艶やかでよく歌う。豊かな響きをもち、潤いがある。表現は端正で、貴族的と言いたくなるほど格調高い。切れ味はあるが、無理に力を入れて弾いているという印象がほとんどない。弟子のオーギュスタン・デュメイが伝えるところによると、そんなグリュミオーのことをアイザック・スターンは「森の中で歌う...
[続きを読む](2022.11.04) -
おなじみの作品が新鮮な魅力を放ったり、なじみのない作品が親しげに響いたとき、決して誇張ではなく、芸術の深い部分と調和したような気持ちになる。ペーター・マークはそういう感動を与える指揮者である。新鮮な魅力を放つといっても、それが単に奇を衒ったものなら二度聴けば飽きる。マークの指揮はそうではなく、独特の表現が全て音楽的に響くのだ。間の取り方も、内声部の歌わせ方も...
[続きを読む](2022.06.04)
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