文化 CULTURE
  • ロジェ・マルタン・デュ・ガールの長編小説『チボー家の人々』のクライマックスをなす『1914年夏』は、市民が戦争の波に押し流されるまでの過程を鋭い目線でとらえているだけでなく、一つの大戦を成立させるメカニズムを心理的側面から生々しく浮き彫りにした文学として、今日の読者にも強い印象を与える。私たちは登場人物たちの言動を他人事とは思えないだろうし、自分ならどうする...

    [続きを読む](2014.09.27)
  • 中将姫の伝説で知られる當麻寺に行くと、仁王門近くの梵鐘わきから美しい二上山を拝むことができる。以前私が訪れたときは曇天で、その愁いを帯びた空模様がまた二上山にはふさわしいように感じられたものである。この山に大津皇子が眠っている。私が大津皇子に関心を抱いたのは、学生の頃、保田與重郎の「大津皇子の像」を読んでからである。これは毀誉褒貶甚だしい保田が遺した文章の中...

    [続きを読む](2014.09.06)

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