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  •  短編「アミコ・テミコ・チミコ」の言葉を借りると、中村文学には「カナリヤのやうに可愛らしくよく囀り、愛らしく見える娘たち」の生態を描いた作品がたくさんある。彼女たちの口調は明るく弾むようで、その仕草は突飛で、愛嬌があり、おてんばで、コミカルだ。かと思えば、したたかで、ちゃっかりもしていて、ちょっと怖いところもある。 「コスモス女學校」では、純情可憐な泣き虫の...

    [続きを読む](2018.06.23)
  •  昭和2年、雑誌『改造』が改造社創立十周年を記念する懸賞創作募集の告知を載せた際、1330編の作品が寄せられた。翌年、一等作品として十周年記念号(昭和3年4月号)に華々しく掲載されたのは、龍膽寺雄の小説「放浪時代」。モダンガールを登場させ、当時の風俗を活写したこの作品は「思想がない」と批判されながらも、大きな話題をさらった。 その反響(改造編集部は「百萬讀者...

    [続きを読む](2018.06.16)
  • 富ノ澤麟太郎の世界 文章はピアノのようなものである。ピアノは誰にでも普通に音を出すことが出来る。ただし、奏者の腕によって出てくる音はだいぶ異なる。文章も誰にでも書くことは出来るが、書き手によって暗色になったり、暖色になったり、硬質になったり、神秘的な雰囲気を帯びたりする。夭折の天才、富ノ澤麟太郎の作品を読むと、そんな当たり前のことを改めて潜思したくなる。 富...

    [続きを読む](2013.11.30)
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