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  •  『地上より永遠に』(1953年)に印象的な場面がある。ホノルルの兵営に配属されたプルーイット二等兵が、かつてボクシングで親友に大きな怪我を負わせたことをクラブのホステスに話すシーンだ。その語り方は、内に抱える苦しみをにじませていて、いわゆるお芝居らしいテンポがない。このように内向的で生々しい演技は当時のハリウッドではまだ珍しく、多くの名優が出演しているこの...

    [続きを読む](2019.10.07)
  •  エレノア・パーカー主演の『女囚の掟』(1950年)の原題は『Caged』。日本では未公開だったが、現在はDVD化されている。タイトル通り、檻の中の話だ。強盗の共犯で刑に服したマリー(エレノア・パーカー)は、刑務所内の慣習や上下関係の洗礼を受けるが、その過程で、看守ハーパー(ホープ・エマーソン)の暴虐ぶり、囚人間の覇権争い、自殺や殺人などが描かれる。やがて精...

    [続きを読む](2017.11.27)
  •  テレサ・ライトには純情で明るくて一緒にいると楽しそうなアメリカ女性というイメージがある。肩のラインの高い服がよく似合い、肌の露出は少なめで、濃密な色気で男を降参させる感じではないが、可憐でほのかな色気を匂わせるところがかえって男心をくすぐる。かつて彼女のような女性とデートしたい、結婚したいと夢見ていた男性は多かった。日活出身でオペラ演出家の三谷礼二は、その...

    [続きを読む](2015.10.27)
  • ワイラーとヒューマニズム ウィリアム・ワイラーは1930年代から1960年代にかけて多くの傑作を手がけ、アカデミー賞をはじめとする数々の名誉に輝いた監督である。『ローマの休日』(1953年)と『ベン・ハー』(1959年)の監督というだけでも映画史におけるその存在感の大きさは格別だ。 しかし彼の映画にみられるいくつかのパターンは、必ずしも万人受けするものとは言...

    [続きを読む](2015.10.01)
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