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  •  ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『アンリエットの巴里祭』(1952年)に忘れられないシーンがある。誕生日の7月14日、洋服店に勤めているアンリエットは、恋人で報道カメラマンのロベールと会えるのを楽しみにしている。しかし、ロベールはデートにやって来て早々、「社長に呼ばれた」と言い、アンリエットを置き去りにする。社長のことは口実で、本当はサーカス団の花形リタに...

    [続きを読む](2015.03.13)
  •  フランス映画史上、最高の美人女優といえばダニエル・ダリューである。人の外見をいい表す時に「フランス人形みたい」というフレーズをつかうことがあるが、彼女はそのフランス人形以上の美しさ、可愛らしさを併せ持つ銀幕の宝石だ。「美」の前に「個性的な」とか「知的な」と付け加えて「美」を相対化したり種別したりする必要もない。シンプルな意味で「美」なのである。そのために白...

    [続きを読む](2013.10.09)
  • 遺作にして最高傑作と評される『穴』 ジャック・ベッケルは第二次世界大戦中の1942年に監督デビューし、ヌーヴェルヴァーグ真っ只中の1960年に53歳で亡くなった。18年の間に発表したのは13作品。そのほとんどが傑作として評価され、多彩な作風でゴダールやトリュフォーなど若き映像作家たちに刺激を与えた。実際のところ、彼の代表作をひとつに絞ることは不可能に等しい。...

    [続きを読む](2013.07.29)
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