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  •  誰もが一度はダヴィッド・オイストラフの演奏に魅了される。緩急強弱の表現すべてが万全で、安定感があり、艶やかで美しい音色でも、鬼気迫る切れ味鋭い音色でも、翳りのあるメランコリーな音色でも、人をひきつける。どんなに一流と呼ばれる人でも、作品やその中にあるフレーズとの相性の良し悪しが出ることがしばしばあるが、オイストラフにかかると、そういうことはほとんど起こらな...

    [続きを読む](2017.07.08)
  • 「ジダーノフ批判」の時期に生まれた傑作 ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番は1947年夏から1948年3月24日の間に作曲された。この時期(1948年以降)、彼はいわゆる「ジダーノフ批判」にさらされていて、作品が演奏禁止になったり、教職を解かれたり、自己批判を強要されたりしていた。 「ジダーノフ批判」というのは、アンドレイ・ジダーノフ主導による言論...

    [続きを読む](2013.06.10)
  •  クラシックの世界には天才と呼ばれる子供が多く存在する。「天才少年」や「天才少女」は決して珍しいものではない。程度の差はあるにしても、若いうちに天才であることを示さない音楽家が大人になってから急に天才になる例は、むしろ稀だ。ただ、場合によっては、「天才少年」や「天才少女」という言葉が極めて消極的な意味合いを持つことがある。彼らはしばしばハリウッドの天才子役た...

    [続きを読む](2012.03.03)
  • サラサーテのために サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番は、「ツィゴイネルワイゼン」の作曲者としても知られる名手パブロ・デ・サラサーテのために書かれた。ベートーヴェンがフランツ・クレメントのために、メンデルスゾーンがフェルディナンド・ダヴィッドのために、ブラームスがヨーゼフ・ヨアヒムのために、チャイコフスキーがレオポルト・アウアーのためにヴァイオリン協奏...

    [続きを読む](2011.11.21)
  •  まず第一にミトロプーロスの真価を伝えて余すところのない記録として、私は迷うことなくザルツブルク音楽祭でのライヴ盤を挙げる。オーケストラはウィーン・フィル。このオケはミトロプーロスのことを格別の敬愛を以て迎え、全幅の信頼を寄せていたという。この手のエピソードはたいてい美化されて伝わっているものだが、ミトロプーロスに関しては事実だったのではないかと思う。それく...

    [続きを読む](2011.03.13)
  •  ギリシャが生んだ巨星、ディミトリ・ミトロプーロスが遺したレコードには凄絶な輝きがある。一度この指揮者の魅力にとりつかれたが最後、もう逃れられない。 生前のミトロプーロスは、人間離れした記憶力でどんな複雑な総譜も完全に暗譜し、作品の核をえぐり、オーケストラがそれまで出したことがないマグマのような音を奔出させ、聴き手を畏怖と緊張と興奮で縛りあげた。指揮棒は晩年...

    [続きを読む](2011.03.10)
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