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  • 意味のある動作 先にも述べたように、編集は極めて巧妙だ。中には、おとみがラーメンに胡椒をかけて大きなくしゃみをし、幸子がずるずる音を立ててラーメンを食べるカット→おきん宅の外観のカット→おとみの前でおきんが上品にご飯を食べるカットという風に繋げるなど、やりすぎのように見える箇所もあるが、綿密に計算された編集美学に貫かれていることは間違いない。 人物の動作にも...

    [続きを読む](2017.03.20)
  • 序 『晩菊』まで 成瀬巳喜男の『晩菊』は1954年公開の映画で、林芙美子原作ものとしては四作目にあたる。脚本は田中澄江と井出俊郎。三つの短編「晩菊」「水仙」「白鷺」を組み合わせ、大幅にアレンジした内容で、おきん(杉村春子)、たまえ(細川ちか子)、おとみ(望月優子)、おのぶ(沢村貞子)という四人の中年女性の人生を交錯させている。名女優たちを競演させた映画といえ...

    [続きを読む](2017.03.19)
  •  P.C.L.の看板スターといえば千葉早智子である。彼女は名家の出だが、ただのお嬢様ではない。宮城道雄に箏を教わり、師の代役として尺八の吉田晴風とアメリカ各地で演奏を行った経歴の持ち主である。おまけに美貌にも美声にも恵まれていたのだから、トーキーに移行した映画界から声がかかるのも時間の問題だった。 銀幕にデビューしたのは1933年、22歳のとき。オペラ歌手の...

    [続きを読む](2016.12.30)
  •  中北千枝子は成瀬巳喜男監督の映画に欠かせない名脇役である。演じるのは、大体家庭に問題を抱えている奥さんや出戻りの役で、本人も「なんかシケた役が多いんですよね。まともな役ってないんですよね」と語っている。 例えば、『山の音』(1954年)で演じている役は、子供を連れて家出し、実家にやってきた女。彼女はいろいろ辛い目にあってきたことで性格がささくれており、父親...

    [続きを読む](2016.04.15)
  •  日本の監督で、女優の魅力を引き出すのが最もうまいのは誰か。この問いに対し、成瀬巳喜男や木下惠介と答える人は、おそらく吉村公三郎の名前を知らないか、忘れている。成瀬も木下も女心のひだを撮る名手として知られているが、起用する女優は大体いつも同じだった。しかし、吉村は全くタイプの異なる女優を次々と主役に据え、その持ち味を発揮させる、まさに「女優映画」の達人だった...

    [続きを読む](2011.03.25)
  •  今や絶滅した和風美人の代表、新珠三千代。「たおやか」とはこの人のためにある言葉ではないかと思わせるほど、そのたたずまいは楚々としていて、優美で、女らしい。体の線がしなやかで、着物姿のときなど、首がとても色っぽくみえる。一方で洋服もよく似合い、新進デザイナーだった頃の森英恵による衣装を着こなすそのセンスとスタイルの良さは、1950年代の日本女性にはあまり見ら...

    [続きを読む](2011.02.27)
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