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  • 市民の勇気 「ツィヴィールクラージェ」というドイツの言葉がある。市民の(Zivil)勇気(courage)で、Zivilcourage。『飛ぶ教室』(2018年冬号)に掲載された那須田淳氏の「眠りの精とツィヴィールクラージェ」によると、ナチス政権の時代に反ナチの立場で抵抗した「白バラ」の活動などから広まった言葉で、ドイツの子どもの文化や教育の根底を支えている...

    [続きを読む](2020.01.13)
  • 血となり肉となる文学 中島敦の『光と風と夢』は、作家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの日記という体裁で書かれている。しかし、その言葉はあくまでも中島自身のもの、彼の思想ないし信条の投影である。「私は、小説が書物の中で最上(或いは最強)のものであることを疑わない。読者にのりうつり、其の魂を奪い、其の血となり肉と化して完全に吸収され尽すのは、小説の他にない」 ...

    [続きを読む](2019.12.28)
  •  校正おそるべし、とは「後生畏るべし」のもじりで、編集や校正の経験者なら一度は聞いたことがある箴言みたいなものだ。最初に言いだしたのは「東京日日新聞」の社長、福地桜痴らしい。たしかに校正は怖い。奥が深い。著名な作家の全集には、すぐれた編集者や校正者が関わっているはずなのに、それでもミスがある。作者自身による誤記に、写植や文字化けによる誤植が加わることもある。...

    [続きを読む](2019.05.05)
  •  「時こそが神なのではないかという考えに、ぼくは常に執着していた」とはロシア出身の詩人ヨシフ・ブロツキーの『ヴェネツィア 水の迷宮の夢』に記された言葉である。 時こそが神である。その前提で戯曲『大理石』を読むと、「おれたちにとってただ一人の観客は、時間なんだ」や「自分を時間に似せたいと本当に思っている」といった台詞に深い意味が加わる。劇の最後に、登場人物のト...

    [続きを読む](2018.10.20)
  •  谷崎潤一郎の『少将滋幹の母』は、平安時代の話で、『今昔物語』や『世継物語』などに材をとっている。主な登場人物は、齢七十半ばを過ぎた大納言藤原国経、その甥にあたる左大臣藤原時平、二人に愛された在原業平の孫娘、国経の子滋幹、そして好色で知られた平中だ。谷崎は実話を綴るだけでなく、『春琴抄』の時と同じように実在しない資料(藤原滋幹の日記)を創作し、虚実交えてこの...

    [続きを読む](2017.07.01)
  •  『青幻記 遠い日の母は美しく』(1973年)は名カメラマン成島東一郎の監督デビュー作である。舞台は沖永良部島。この中に、病気の母親が子供と海に行き、磯で魚を採るシーンがある。親子水入らずの和やかなひとときだ。 しかし、俄に海の様子が変わり、満潮が始まる。母親は「胸が苦しくて動けません」と言い、助けを呼んできてほしいと子供に頼む。子供を海から離れさせるためで...

    [続きを読む](2016.03.05)
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