タグ「アンリ=ジョルジュ・クルーゾー」が付けられているもの

  • 新たな挑戦 おそらく映画史において、アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』ほど多くの人々によって論じられた作品はほとんど存在しないだろう。この映画は、箝口令が敷かれる中で撮られ、試写会もなく公開された。そして批評家たちの不興を買いつつも、徹底した秘密主義が奏功して大ヒットし、大衆に支持された。その大衆によって、批評家以上の熱量で語られ、分析されたのである...

    [続きを読む](2018.04.02)
  •  シモーヌ・シニョレはフランス映画界の第一線で活躍した名女優である。演じた役柄には一定の傾向があり、若い頃は娼婦や不倫の人妻の役が多く、中年になってからは貫禄のあるおばさん役で存在感を発揮した。40歳を過ぎても顔の皺を隠すことなく変に若作りしなかったことや、政治に関する発言を積極的にしていたことから、同性のファンも多かったようである。 初の大役は『宝石館』(...

    [続きを読む](2017.02.04)
  • 扉 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの作品では、扉や門が凶兆を告げるシンボルとして用いられる。それは、単独でメガフォンを取った初の長編映画(それまでは共同監督で長編を数本撮っていた)『犯人は二十一番街に住む』(1942年)から一貫している。この映画は酒場のドアが開くカットで始まり、その後、殺人事件が次から次へと起こる。次作『密告』(1943年)では、墓地の門が...

    [続きを読む](2015.02.19)
  • 歌手であり、俳優であり、活動家 イヴ・モンタンは1991年に70歳で亡くなるまで、主役級の俳優として映画界で活躍し続けた。それと同時に、フランスを代表する名歌手として時折休止を挟みながらステージに立ち、「枯葉」「ルナ・パーク」「バルバラ」「パリで」など数々のシャンソンをヒットさせた。歌手としても俳優としても成功した人は少なからずいるが、彼ほど圧倒的な成功を収...

    [続きを読む](2014.04.02)
  • 『赤い手のグッピー』の潔癖性 戦時下のフランスで本格的に監督デビューし、大きな注目を集めた天才といえば、ほかにロベール・ブレッソンとアンリ=ジョルジュ・クルーゾーがいる。21世紀の今日に至るまでのフランス映画史を見渡しても、際立って個性的かつ異常な才能を持つ3人がほぼ同時期に世に出てきた、というのは興味深い。その中で、ベッケルは「犯罪映画」を得意にしながらも...

    [続きを読む](2013.07.31)
1