タグ「ヘルベルト・ケーゲル」が付けられているもの

  • 世界が未だかつて耳にしたことがないようなもの マーラーの交響曲第3番は全6楽章、演奏時間に90分以上を要する大作である。ただ、渋滞感や退屈な部分は皆無で聴きやすく、最終的には聴き手を大きな幸福感で包み込む。あらゆる雑念を吸収し、世界を高みへと押し上げるような第6楽章の美しさが、この作品に存在する全ての要素を肯定させ、悲しみも苦しみも疲れも忘れさせるのだ。これ...

    [続きを読む](2015.02.25)
  • 音による表現のエッセンス アントン・ヴェーベルンの「弦楽四重奏のための5つの楽章」は1909年に作曲された。作品番号は5。アルノルト・シェーンベルクのもとで研鑽を積んでいた頃、オペラの作曲計画が頓挫した後に起こった創作意欲の爆発を示す傑作である。まだ20代半ばだったヴェーベルンはここで調性的な世界から離れ、音の配列、強弱、音響、そして演奏法を徹底的に吟味し、...

    [続きを読む](2014.07.25)
  • 「人間は深い淵だ。底をのぞくと目が回るようだ」 アルバン・ベルクの歌劇『ヴォツェック』は1914年に着手され、幾度かの中断を経て1922年に完成した。台本のベースとなっているのは、23歳で夭折した天才劇作家ゲオルク・ビューヒナーの『ヴォイツェック』。この舞台を観たベルクが、オペラ化するために自ら筆をとったのである。 ビューヒナーの劇は、実際にあった出来事から...

    [続きを読む](2014.04.11)
  • バロックの「疾走する悲しみ」 ストラヴィンスキーはヴィヴァルディのことを「同じ協奏曲を400曲も書いた」と評した。どれもこれも同じにしか聞こえないという皮肉である。たしかに、作品3『調和の霊感』、作品4『ラ・ストラヴァガンツァ』、『四季』を含む作品8『和声と創意への試み』、作品9『ラ・チェトラ』を目隠しで聴いて、どの曲がどの協奏曲集の何番目の作品の何楽章かい...

    [続きを読む](2012.07.01)
  • おお、運命の女神よ 生命の息吹あふれる春に、カール・オルフの『カルミナ・ブラーナ』ほどぴったりくる作品はない。この音楽に耳を傾けていると、肉体が開放され、奮い立ち、人生のさまざまな揉めごとや災いの山に向かって猛然と突き進んでいこう、という雄々しい気持ちになってくる。効果的に繰り返される劇的なメロディーや千変万化するリズム、声を限りに歌われる力強い合唱が、私た...

    [続きを読む](2011.04.10)
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