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  •  小倉柳村は明治13年、14年に出版された東京名所絵で知られる絵師である。本名も生没年も素性も明らかになっていない。 『浮世絵師伝』(井上和雄著 昭和6年発行)、『清親と安治』(近藤市太郎著 昭和19年発行)によると、柳村作として伝えられる絵は数えるほどしかない。東京名所絵の「湯島之景」、「浅草観音夜景」、「日本橋夜景」、「愛宕山之景」、「八ツ山之景」、「...

    [続きを読む](2019.09.10)
  •  誰もが知る横山光輝の代表作は、『鉄人28号』『伊賀の影丸』『魔法使いサリー』『バビル2世』『三国志』になるのだろうが、単に好きとか面白いという感想をこえて私の記憶にしみついているのは、『あばれ天童』と『マーズ』である。とくに『マーズ』は、中学生だった私を震撼させ、数日間絶望させた漫画として忘れられない。 私が読んだのは秋田書店から出版されたコミックスだが、...

    [続きを読む](2014.08.09)
  •  磯田湖龍斎(いそだ・こりゅうさい)は鈴木春信の影響を強く受けながら、やがて独自の画風を示した絵師として知られている。もっとも、歌麿、北斎、広重のように誰もが知っているわけではなく、研究書と呼べるものはほとんどないし、日本で湖龍斎展が開かれたという話も聞かない。ただ、代表作の「雛形若菜の初模様」シリーズがテレビ番組で取り上げられたこともあり、湖龍斎に関心を持...

    [続きを読む](2014.03.01)
  •  年に1回は必ず読む漫画がある。楳図かずおの『わたしは真悟』だ。初めて読んだ時は頭が爆発しそうになるほどの興奮を覚えたものだが、何回読んでも、ほとんど同じ強度の興奮に襲われる。読み慣れた作品という印象を抱くことはない。毎回新鮮な気持ちになり、楳図が創造した驚異的な世界に溺れてしまう。 『わたしは真悟』は1982年から1986年にかけて『ビッグコミックスピリッ...

    [続きを読む](2013.11.09)
  •  そこは、〈都会のオアシス〉などという陳腐な言葉に置き換えるのが憚られるほど、幽玄で心地好い静寂に包まれた空間。行く度に身も心もゆったりとした気分に浸れ、なおかつ極上の美術品を鑑賞したという満足感にも包まれて、終いにはその場にいつまでもいつまでも佇んでしまいたくなる。筆者が最も愛する美術館のひとつ、根津美術館(以下、根津美)とは、そうした場所だ。 手持ちの『...

    [続きを読む](2013.04.06)
  •  それは、朝からうららかに晴れた、ある春の日のこと。国際線に乗るために新東京国際空港(現成田国際空港)のある成田市には何度も足を踏み入れたことはあるが、同市を擁する千葉県の県庁所在地、千葉市には一度も行った経験のなかった筆者は、今から遡ること16年前の1996年4月17日、生まれて初めてJR千葉駅に降り立った。千葉市の空もまた、筆者の住む横浜と同じように抜け...

    [続きを読む](2012.08.11)
  •  曾我蕭白の「群仙図屏風」を初めて見た時は、驚いたというよりも呆然としたものである。見たといっても、その時は図録で見たにすぎないが、それでも、その発想力と画力に圧倒された。ひと言でいえば奇想天外。流派や伝統から逸脱した新しさが横溢している。誰にも真似できない、真似しようのない絵だ。そこには8人の仙人のほかに、龍、鶴、鯉、蝦蟇、唐子、侍女、樹、風、波などが描か...

    [続きを読む](2012.05.12)
  •  劇団「夢の遊眠社」を通じて萩尾望都のことを知った。萩尾望都と野田秀樹が共同で戯曲を手掛けた舞台『半神』を高校2年の頃に観に行ったのだ。興味を持った僕は早速、学校の近所の本屋で萩尾望都の作品を何冊か買った。『半神』『ウは宇宙船のウ』『モザイク・ラセン』だったと思う。オリジナル作品の他、レイ・ブラッドベリのSF小説を原作としたものも収録されていて、僕は夢中にな...

    [続きを読む](2011.11.19)
  •  鉄道マニアを「鉄っちゃん(もしくは鉄ちゃん)」と呼ぶそうな。筆者の旧知の編集者さん(女性)は切手蒐集家を「切っちゃん」と呼ぶ。これが世間一般で通用する呼称なのか否かは知らない。その編集者さんも切っちゃんのひとりではあるのだが。 小〜中学校時代、同級生(主に男子)に切手蒐集家が数名いたと記憶している。記念切手発売日ともなると、遅刻するのもお構いナシに郵便局が...

    [続きを読む](2011.09.03)
  •  決して不機嫌なのではない。そうかと言って、アンニュイな雰囲気とも微妙に違う何かがそこには......。鑑賞者の視線と交わることのない、うっすらと愁いを帯びたその瞳は、どこか遠くーーいにしえの日々かーーを見つめているようでいて、その実、空(くう)を彷徨っているかのようにも見えてくる。どの絵師の美人画とも質を異にする、独特の雰囲気と存在感。そして孤独感。 橋口...

    [続きを読む](2011.08.20)
  •  春風の吹く日本のとある町。長い階段を数えながらのぼっている一人の少年の姿がある。「88、89、90......」 そこへ赤い麦わら帽子が風に飛ばされてくる。少年はジャンプして帽子をつかむ。すると、階段の上の方から声が聞こえてくる。「ナイスキャッチ」 少年が見上げるとそこには少女が立っている。 転校生・春日恭介と鮎川まどかの出会いのシーンだ。 恭介は階段をの...

    [続きを読む](2011.06.18)
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