映画 MOVIE

監督神髄

名監督たちの肖像

映画史に名を残す100人の監督論。
今なおファンに愛されている代表作を観ながら
それぞれの作品の特色、映画術をつまびらかにしたい。

  • 21世紀の今もドクトル・マブゼは生きている。先日、文庫化された平野啓一郎の長編『決壊』を読んだが、この前半に〈悪魔〉と称する男がカラオケボックスで中学生の北崎友哉を唆す重要な場面がある。そこで放たれる言葉は、バウム教授に託されたマブゼのメッセージを思い出させる。〈悪魔〉は、「純化された殺意として、まったく無私の、匿名の観念として殺人を行う」ことを奨励し、「殺...

    [続きを読む](2011.07.16)
  • 『ドクトル・マブゼ』で華々しい成功を収めた後、フリッツ・ラングはテア・フォン・ハルボウと結婚した。しかし漁色家のラングは多くの女性と関係を持ち、夫婦仲が冷却化。1930年代に入ると別居し、今度はハルボウがインド人青年と恋愛関係を結ぶ。『ドクトル・マブゼ』の続編は、そんな状況の中で製作された。『怪人マブゼ博士(マブゼ博士の遺言)』が完成したのは1933年頭。こ...

    [続きを読む](2011.07.15)
  • オーストリアが生んだ天才監督フリッツ・ラングは、戦前から戦後にかけて誇張抜きに「傑作」と呼ぶに値する作品を多く撮った。普通の監督が1本でも完成させれば歴史に名を残せるような映画を何本も作っているのだ。その代表作を数本に絞ることは不可能に等しい。ただ、それぞれ好みはあるにせよ、観る者をひれ伏させるようなラングの演出力と魔術的なビジュアル・センスが確かな強度で表...

    [続きを読む](2011.07.14)