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  •  谷崎潤一郎の『少将滋幹の母』は、平安時代の話で、『今昔物語』や『世継物語』などに材をとっている。主な登場人物は、齢七十半ばを過ぎた大納言藤原国経、その甥にあたる左大臣藤原時平、二人に愛された在原業平の孫娘、国経の子滋幹、そして好色で知られた平中だ。谷崎は実話を綴るだけでなく、『春琴抄』の時と同じように実在しない資料(藤原滋幹の日記)を創作し、虚実交えてこの...

    [続きを読む](2017.07.01)
  • ミシェル・ローラン「サバの女王」(1967年) レイモン・ルフェーヴル楽団の「シバの女王」は1969年に日本でシングル・カットされ、同楽団の代表曲として知られるようになり、それと同時に、ムードミュージック界を象徴する名曲の一つになった。そのため、レコードを買うまで、私はレイモン・ルフェーヴルが作曲したものと思い込んでいた。 原曲は1967年にフランスで流行っ...

    [続きを読む](2016.10.08)
  •  「続悪魔」は、神経衰弱が悪化しているところから始まる。「癲癇、頓死、發狂などに對する恐怖が、始終胸に蟠つて、其れでも足らずに、いやが上にも我れから心配の種を撒き散らし、愚にもつかない事にばかり驚き戦きつつ生をつづけて居」る佐伯は、反面、「高橋お傳」「佐竹騒動妲妃のお百」といった毒婦物の講釈本を読み、恐怖に敏感な神経を麻痺させるような血なまぐさい幻想を堪能し...

    [続きを読む](2016.06.11)
  •  谷崎潤一郎の初期作品「悪魔」と「続悪魔」は、強迫観念に支配された人間の心理を真正面から扱った作品である。前者は明治45年2月の『中央公論』(原題は旧字で「惡魔」)、後者は大正2年1月の『中央公論』(原題は旧字で「惡魔(續篇)」)に掲載された。「The Affair of Two Watches」(『新思潮』明治43年10月)にも「激しいHypochondr...

    [続きを読む](2016.06.04)
  •  今はインターネットを通じて、自分と似たような考えを持つ人が匿名の世界に存在することはある程度見て取れる。とはいえ、昔と比べて現実生活における青春の孤独の寄る辺なさにそこまで大きな違いがあるわけではないだろう。16歳の頃、私は誰の話を聞いても共感できない、どんな思想にふれても満たされないという空白を持て余していた。自分の欲しい言葉が具体的にどのようなものなの...

    [続きを読む](2015.11.07)
  •  教員志望の同級生に誘われて、塾講師をしていたことがある。1994年4月から1996年3月までの約2年間の話だ。 中学2年生と中学3年生の国語のクラスを受け持っていた。生徒は各16名。授業時間は90分で、1日2コマ。時給は2600円、辞めた時は2900円だった。当時住んでいたアパートから車で50分という遠い場所にあったが、ちょっとした夕食付きだったこともあり...

    [続きを読む](2013.08.10)
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