「シューマン」と一致するもの
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葬送行進曲と疾風 ピアノ・ソナタ第2番は1839年の夏に作曲された。当時ショパンは29歳で、ノアン(フランス中部ベリー地方)にある恋人ジョルジュ・サンドの館に滞在していた。田舎暮らしは退屈だったようだが、穏やかな生活は体調にも創作にも良い影響をもたらし、ピアノ・ソナタのほかに、ノクターン、スケルツォ、即興曲、マズルカなどを完成させた。この後、ショパンとサンド...
[続きを読む](2025.03.08) -
「怒りの日」の変奏曲 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」は、1934年7月3日から8月24日にかけて、スイスのルツェルンで作曲された。初演は1934年11月7日、レオポルド・ストコフスキー指揮、フィラデルフィア管の演奏により行われた。ピアノ独奏はラフマニノフ自身が務めた。 「パガニーニの主題」とは、パガニーニが19世紀初めに作曲した『24の奇想曲...
[続きを読む](2025.01.07) -
型にとらわれず、自由に ブラームスの交響曲第3番は1883年に作曲され、同年12月2日に初演された。作曲当時、ブラームスは50歳。5月頃からヴィースバーデンで本腰を入れて筆を進め、10月にほぼ完成させた。ブラームスにしては速筆である。ちょうど作曲期間中、若い歌手ヘルミーネ・シュピースに恋慕の情を抱いていたらしく、その気分が作品に反映されていると見る向きもある...
[続きを読む](2024.10.05) -
名門オーケストラを42年間率いる ユージン・オーマンディはフィラデルフィア管弦楽団を42年間率いた名指揮者である。生前は人気があり、数多くの録音を遺し、豊麗なフィラデルフィア・サウンドで音楽ファンを虜にした。レコードのセールス面ではレナード・バーンスタインを凌いでいたという。日本でも一時はオーマンディの録音が出回っており、私などの世代にとっては、クラシック音...
[続きを読む](2024.06.10) -
特別な雰囲気 クララ・ハスキルはルーマニア出身のピアニストで、モーツァルト弾きとして定評があった。幼少期から才能を発揮していたが、病気等に悩まされて思うようにキャリアを積めず、実際に大きな注目を浴びたのは戦後、50歳を過ぎてからのことだった。 ハスキルのピアノの特徴を一言で表現するのは難しい。あっと言わせるような解釈があるわけでも、絢爛たる技巧があるわけでも...
[続きを読む](2024.02.06) -
情熱に満ちた交響的幻想曲 シューマンの交響曲第4番は1841年に作曲され、同年9月13日、妻クララの誕生日に贈られた。初演は同年12月6日、ライプツィヒのゲヴァントハウスで行われたが、期待していたような評価を得られず、楽譜の出版も見送られた。その後、1851年に改訂を開始。1853年12月30日に改訂稿の初演がデュッセルドルフで行われ、成功を収めた。 異名は...
[続きを読む](2023.10.04) -
練習魔 天才のなかには練習嫌いが少なからずいるが、ルドルフ・ゼルキンは練習魔で、毎日何時間もピアノに向かっていた。まず非常に遅いテンポでスケール練習を行い、時間をかけて徐々にテンポを速め、最終的に最速で弾くのがお決まりだった。何度も演奏したことがある曲でも、手を抜かずに練習をくり返した。それはもはや練習というより、音楽に奉仕する儀式だったのかもしれない。グレ...
[続きを読む](2023.02.04) -
代表作は『イヴの総て』 ファンを装って大女優に近付き、従順な付き人になるが、やがて本性を現し、周囲の恩人たちを踏みつけて成り上がる女。この女にはモラルのかけらもなく、良心もない。あるのは飽くなき野心と才能のみ。彼女の名前はイヴ・ハリントン。1951年の映画『イヴの総て』の登場人物である。 イヴ(アン・バクスター)はまず大女優マーゴ(ベティ・デイヴィス)の友人...
[続きを読む](2022.09.14) -
交響詩のような協奏曲 フランツ・リストのピアノ協奏曲第2番は1839年に作曲され、同年9月13日に完成した。ただ、そのまま初演されたわけではない。何度も手を加え、1848年に「交響的協奏曲」と命名し、1849年にいったん改訂を終了。それでも納得が行かず、さらに1856年に補筆し、ようやく1857年1月7日に初演された。その後もリストは手直しを続け、1863年...
[続きを読む](2022.07.04) -
美しいメロディーがより美しくなる おなじみの作品が新鮮な魅力を放ったり、なじみのない作品が親しげに響いたとき、決して誇張ではなく、芸術の深い部分と調和したような気持ちになる。ペーター・マークはそういう感動を与える指揮者である。新鮮な魅力を放つといっても、それが単に奇を衒ったものなら二度聴けば飽きる。マークの指揮はそうではなく、独特の表現が全て音楽的に響くのだ...
[続きを読む](2022.06.04)