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  •  誰もが一度はダヴィッド・オイストラフの演奏に魅了される。緩急強弱の表現すべてが万全で、安定感があり、艶やかで美しい音色でも、鬼気迫る切れ味鋭い音色でも、翳りのあるメランコリーな音色でも、人をひきつける。どんなに一流と呼ばれる人でも、作品やその中にあるフレーズとの相性の良し悪しが出ることがしばしばあるが、オイストラフにかかると、そういうことはほとんど起こらな...

    [続きを読む](2017.07.08)
  • 狂乱のアルペッジョ 心休まることのない音楽である。20歳を超えて間もない音楽院生セルゲイ・プロコフィエフの恐るべき才気が灰も残さないような勢いで爆発している。容赦なく押し寄せるリズムの波濤、猛烈な不協和音、緩急強弱が不安定に移り変わるピアノは今聴いても斬新で、古びたところがない。1913年8月にパヴロフスクで作曲者のピアノにより初演された際、こんな音楽を聴い...

    [続きを読む](2016.09.03)
  • 魅力的なライヴ音源 1975年に椎間板の大手術を受け、1978年に指揮台から落ちて脳卒中に見舞われた後は、健康状態の悪化やベルリン・フィルとの関係悪化(1981年に勃発した「ザビーネ・マイヤー事件」をきっかけに、カラヤンとオーケストラの間には大きな溝が生じた)に悩まされ、それを反映するかのように、統率力が以前よりも緩み、オーケストラの自発性を重んじる傾向が強...

    [続きを読む](2014.10.04)
  • 協奏曲の録音 ギレリスのピアニズムには確かな造形感があり、胸に響く重量感、輝かしいまでの明晰さがある。しかし、グリーグの『抒情小曲集』で聴くことが出来るしっとりとした味わいと甘美さ、プロコフィエフの「束の間の幻影」で聴くことが出来る胸のすくような跳躍感や諧謔的な表現の巧さもギレリスの特性である。 若い頃(1930年代から1940年代にかけて)の録音を聴くとテ...

    [続きを読む](2014.04.23)
  •  ジェラール・フィリップはいつの時代にも通用しそうな美貌に恵まれた二枚目であるだけでなく、舞台でも高い評価を得ていた演劇人であり、抜群の身体表現の能力と知性と品格と神秘性を備えたカリスマであった。そして何より柔軟性に富み、アクション史劇にも、ロマンティックな文芸映画にも、軽い喜劇にも、シリアスな現代ドラマにも嵌る名優であった。だからこそ、亡くなってから半世紀...

    [続きを読む](2013.11.04)
  • ロマンティックでモダニスティック プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、とびきり美しい旋律を持っているばかりでなく、攻撃性や先進性も兼ね備えた傑作である。ロマンティックでモダニスティック。プロコフィエフらしい異能の才気が迸り、かつて存在しなかったようなサウンドフォルムを形成している。 作曲時期は1917年から1921年。ロシア革命の年に着手され、日本を経由し...

    [続きを読む](2013.10.31)
  • 美と歪み プロコフィエフは若い頃、斬新な作風で賛否両論を巻き起こし、注目を集めていた。ヴァイオリン協奏曲第1番は、そんな彼が青春期の最後に完成させた傑作である。作曲時期は1915年から1917年。初演は1917年11月に予定されていたが、ロシア革命のために流れてしまい、6年後の1923年10月18日、パリで行われた。指揮はセルゲイ・クーセヴィツキー、ソリスト...

    [続きを読む](2012.04.26)
  • 「プレチピタート」が描くもの セルゲイ・プロコフィエフは1939年から1944年の間にピアノ・ソナタを3作書き上げた。第6番イ長調、第7番変ロ長調、第8番変ロ長調である。戦争に触発されて書かれたそれらの作品は、まとめて「戦争ソナタ」と呼ばれている。このシリーズ中、プロコフィエフの才気が爆発しているのが第7番である。よりどころのない不安、甘さのないリリシズム、...

    [続きを読む](2012.01.19)
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