文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • 古井由吉の小説は、簡単には掴みきれない。時折、何を読んでいるのか分からなくなることがある。2008年に発表されたエッセイ「招魂としての読書」によると、古井は読んだ本のことをすぐに忘れるらしい。「読んだ事に感嘆させられるほどに、後で綺麗に忘れる、という気味すらある。三読四読して長大息までしていたのに、机の前から立って十歩と行かぬうちに、はて、何のことだったか、...

    [続きを読む](2024.02.26)
  • 『土佐日記』は、紀貫之が女性になりすまして書いた日記文学である。ただの日記ではない。仮名で書かれた旅日記である。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとするなり」という冒頭文があまりにも有名で、それ以外は知らないという人が多いかもしれないが、無論それだけの作品ではない。日記中に収められた歌は58首(引用歌を含む)、登場する人物の歌才に合わせて作歌されてい...

    [続きを読む](2023.11.16)
  • 竹内によると、近代化が始まった頃の日本はアジア的連帯へ向かうこともあり得たが、その可能性は「明治三十年代、つまり日清戦争から日露戦争にかけて漸次消滅した」(「孫文観の問題点」『思想』1957年6月号)という。「私は今日、日本がアジア的連帯を回復することを希望し、そのための条件を『理論的に』作り出したいと念願している。これは私の実践要求である」(「孫文観の問題...

    [続きを読む](2023.08.20)
  • 「近代の超克」は戦争責任論でもある。この評論が発表されたのは1959年11月、安保闘争の時期である。竹内は「近代の超克」を脱稿する前後、安保問題研究会に出席したり、安保批判の会に参加したりしていた。多くの人と同様、日本が戦争に巻き込まれるかもしれないと危惧していたからである。そんな竹内が、単なる研究対象として「近代の超克」を取り上げたとは思えない。個人的趣味...

    [続きを読む](2023.08.15)
  • 1959年11月発行の『近代日本思想史講座』第7巻に掲載された「近代の超克」は、1942年に『文学界』誌上で行われたシンポジウム「近代の超克」の内容を検証した評論で、竹内の代表作の一つであり、当時大きな注目を浴びた。戦後、近代の超克は「戦争とファシズムのイデオロギイを代表するもの」として、知識青年たちを熱狂させ、死へと駆り立てたシンボルとして語り継がれていた...

    [続きを読む](2023.08.12)

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