文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • セバスチャン・カステリオンは宗教改革の指導者ジャン・カルヴァンを糾弾した16世紀の神学者である。今日、この人の名前を知る機会はほとんどない。日本ではシュテファン・ツヴァイクの『権力とたたかう良心』か、渡辺一夫の『ヒューマニズム考』を読んだ人が話題にする程度だろう。カステリオンは1515年にフランスとスイスの国境地帯に生まれた。リヨン大学で学び、広範な知識を身...

    [続きを読む](2022.08.15)
  • 礒田湖龍斎の絵には独特のおかしみがある。周知の通り、湖龍斎は鈴木春信から多大な影響を受けた絵師で、本家と見分けがつかないくらい似た絵を大量に描いた。腕はたしかで、細かく技巧的な絵もこなした。「石橋図」や「雪中美人画」といった美しい肉筆画を見ても、その腕前が相当のものであったことは分かる。しかしながら、湖龍斎は型にはまるタイプの人ではなかった。

    [続きを読む](2022.05.15)
  • 「鬼才」と呼ばれている芸術家は沢山いるが、かつては「李白を天才絶と為し、白居易を人才絶と為し、李賀を鬼才絶と為す」と言われていた。人間離れした恐るべき才能を意味する「鬼才」とは、李賀のためにある言葉だった。字は長吉、皇族鄭孝王の子孫にあたるという。生年は791年なので、李白や杜甫が亡くなった後の世代に属し、同時代を生きた詩人に韓愈、白居易、杜牧がいる。

    [続きを読む](2022.02.13)
  • 将棋を題材にした小説は多い。エッセイやノンフィクションを含めると相当な数に上る。昔の作家には将棋好きが沢山いて、プロ棋士との交流も盛んだったようだ。小説の筋運びと将棋の駒運びにはどこか通じ合うものがあるのかもしれない。作家が将棋について語った名言もある。最も有名なのは、菊池寛の「人生は将棋なり」と「人生は一局の棋なり。一番勝負なり。指し直すこと能はず」で、あ...

    [続きを読む](2021.12.15)
  • 広津柳浪は善悪を明確に分けず、勧善懲悪を期待させない。「河内屋」にはその特徴がよく出ている。「河重」の異名を持つ重吉とお染は愛のない結婚をした夫婦である。お染は、かつて重吉の弟の清二郎と惚れ合っていた。その3人が同じ屋根の下に住んでいる。そこへ重吉の愛人お弓が住み着くようになる。お染と、お染を純粋に想い続ける清二郎は哀れな被害者だ。誰もがそう思う。しかし、こ...

    [続きを読む](2021.09.15)

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