文化 CULTURE

花と冒険[考察・エッセイ]

崖に咲く花はなぜ美しいのか

「文化」についてのエッセイ。
テーマは文学、思想、民俗、絵画、漫画、アイドル、ゲーム、玩具、世相...。
ハイカルチャーとサブカルチャーの境も関係なく、流行も関係なく、
日常の死角にある「文化」を語る。

  • 大学時代の僕の遊び場と言えばライヴハウスであった。知らない人が沢山集まるコンパは苦手で、テニスやスキーの浮ついたムードにも馴染めず……という、我ながらキャンパスライフに不向きの性質の持ち主であった当時の僕にとって、唯一居心地の良さを感じられる空間がライヴハウスだったのだ。初めて行ったライヴハウスは、まだ小滝橋通り沿いにあった頃の新宿ロフト。そこは大好きなRC...

    [続きを読む](2011.10.29)
  • 蒼井雄は昭和10年代に話題になった推理作家である。本名は藤田優三。1909年に生まれ、1975年に亡くなった。作家として独り立ちすることなく、関西配電の技師としてサラリーマン人生を送り、数えるほどしか作品を残さなかった。代表作は『船富家の惨劇』。1936年、これが春秋社の書き下ろし長編募集に一席で入選し、注目を集めた。蒼井を推した審査員は江戸川乱歩である。一...

    [続きを読む](2011.10.22)
  • 『女囚さそり』や『修羅雪姫』シリーズの存在だけでなく、梶芽衣子の歌も、僕はクエンティン・タランティーノの『キル・ビル』(2003年)を通じて知った。『キル・ビル』の劇中で、梶芽衣子の「修羅の花」(1973年)と「怨み節」(1972年)が使用されていたのだ。《死んでいた朝に とむらいの雪が降る》という、不吉な一節で始まる「修羅の花」、匕首を喉元に突きつけるかの...

    [続きを読む](2011.10.15)
  • 夏に会社を移ってから生活サイクルが変わった。始業時間がこれまでより2時間早くなり、家から会社の距離も遠くなったので、7時には起きなければならない。一般的には、7時なんて早いうちに入らないのだろうが、20年近く夜型生活を送ってきた身には馴染みのない時間帯である。それでも、今のところは緊張感のおかげで起きている。夜も遅いので、体力がもつかどうか不安だ。ある日、騒...

    [続きを読む](2011.10.08)
  • 徳川夢声は大正から昭和にかけて活躍したマルチタレントである。マルチタレントというと「とりあえず何でもこなすけれど仕事の質は大して高くない」というイメージを持たれるかもしれない。が、この人の場合、それは当てはまらない。弁士としても、「対談まわし」としても、俳優としても傑物。小説の分野でも他に類を見ない独自の個性を発揮し、多くの作品を発表した。元々は活動写真の弁...

    [続きを読む](2011.10.01)