「ブラー」と一致するもの

  • ヴァイオリンが持つ美の力 ヨハネス・ブラームスがヴァイオリン協奏曲を作曲していたとき、名ヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムが助言を与えていたことはよく知られている。1879年1月、ブラームス自身の指揮で行われた初演でも、独奏を務めたのはヨアヒムである。このヴァイオリニストはマックス・ブルッフとも親交があり、ブラームスより10年ほど前、ヴァイオリン協奏曲第1...

    [続きを読む](2016.09.24)
  • 『トレインスポッティングオリジナル・サウンドトラック』1996年作品 今からちょうど20年前(1996年)に公開された、『トレインスポッティング』という映画のタイトルを耳にして真っ先に思い出すのは、アンダーワールドの「ボーン・スリッピー」? それとも、冒頭で聴こえたイギー・ポップの「ラスト・フォー・ライフ」の、アイコニックなドラムビートだろうか? 或いは、主...

    [続きを読む](2016.08.14)
  •  ハンス・リヒター=ハーザーはかつてヨーロッパでもアメリカでも称賛されたドイツのピアニストである。遺された音源が限られているせいか、今では地味な存在になっているが、実際の音楽性は地味と言われるようなものでは全くない。 生まれたのは1912年1月6日。13歳でドレスデン・アカデミーに入学し、ピアノだけでなくヴァイオリン、打楽器、指揮法も学んだ。1928年にデビ...

    [続きを読む](2016.05.29)
  • クレンペラーの音楽 木管を強調させるやり方は、クレンペラーが意識して行っていたことである。何しろ「木管がきこえるということがもっとも重要なのです」とまで言い切っているのだ。その傾向が昔からあったことは、1928年に録音されたR.シュトラウスの「7つのヴェールの踊り」を聴くとわかる。これは極めて貴重な音源だ。録音年代を忘れるほど音質が良いこともあり、ぞくぞくす...

    [続きを読む](2016.03.21)
  • ピアノとオーケストラから生まれる宇宙 ブラームスのピアノ協奏曲第2番は1878年から1881年夏にかけて作曲され、1881年11月9日にブラームス自身のピアノにより初演された。第1番の初演が公式に行われたのは1859年1月22日なので、ピアノ協奏曲の「新作」が発表されるまでに20年以上の歳月を要したことになる。ちなみに第2番の初演当時ブラームスは48歳、作曲...

    [続きを読む](2016.01.02)
  •  マーガレット・ロックウッドは1940年代のイギリス映画を代表する女優である。当時、悪の魅力を撒き散らしたジェームズ・メイスンがゲインズボロー・ピクチャーズの王座にあるとするならば、ロックウッドは王妃の座にある。美貌も演技力も満点と言っていい彼女は、『バルカン超特急』(1938年)のヒロインとして名を馳せた後、『灰色の男』(1943年)や『妖婦』(1945年...

    [続きを読む](2015.12.08)
  • セイント・エティエンヌ『フォックスベース・アルファ』1991年作品 音楽に関して英国が素晴らしいのは、いまだギターを弾いて歌っていないと「ホンモノ」と認めなかったり、ポップ・ミュージックは子供向けの音楽と見做されているようなところがある米国と違い、アーティスティックで大人の鑑賞に堪える、「ホンモノ」のポップ・ミュージックを作るミュージシャンが、大勢いることだ...

    [続きを読む](2015.08.26)
  • レパートリーの広さ ピエール・モントゥーについて書かれた文章を読むと、ロシア音楽が得意とか、ドイツ音楽が得意とか、母国フランスの音楽が最も得意とか、いろいろなことが書かれている。そこでいつも思う、「果たしてこの人に得意でない作品があったのだろうか」と。実際のところ、レパートリーが広かったことは、遺された音源が証明している。バッハからメシアンまで、時代にも国籍...

    [続きを読む](2015.07.22)
  • 天才作曲家の代表作 マックス・ブルッフは作品の知名度が高いわりにプロフィールがあまり知られていない人である。そのヴァイオリン協奏曲第1番は名曲中の名曲で、初演時から今日まで多くの人に愛されてきた作品だし、「コル・ニドライ」も「スコットランド幻想曲」も有名だ。にもかかわらず、ブルッフに関するまとまった資料は驚くほど少ない。この事実は、音楽以外の情報を抜きにして...

    [続きを読む](2015.06.24)
  •  1940年代のイギリス映画界で、ジェームズ・メイスンは絶対的なカリスマであった。屈折した性格の役が似合い、陰のある悪役を演じても、エキセントリックな変質者を演じても、正義の看板を背負った登場人物たちより魅力を発散して、観る者に肩入れさせる。なめらかで艶のある声、ニヒルな笑み、ノーブルな物腰を武器に、主導権をとってしまうのだ。危険と言えば危険な魅力である。 ...

    [続きを読む](2015.05.09)
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