タグ「J.S.バッハ」が付けられているもの

  • 第3部 曲とスピーカーとの相性〜PMCのTB2+とtwenty5 22〜 次に、イギリスのメーカーPMCのTB2+である。特徴は、いわゆるモニター性能を最優先し、細密画のような描写力が画期的で素晴らしい。時間軸において恐ろしいほど正確で、音の立ち上がりが速く、「ザサッ ザサッ」と、音が切り込んでくるように感じられ、また、音源に色付けしないストレートな印象。...

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  • 第1部 はじめに クラシック音楽の名盤を、しっかりとしたオーディオで鳴らし、名演奏にどっぷりと浸りたい。学生時代から30年近く、その想いで試行錯誤を繰り返してきた。 機器遍歴を書き出すと長くなるが、リサイクルショップで揃えた古くて安いスピーカーやアンプから始まり、モニターオーディオのRS5とパナソニックのXR55との組み合わせや、JBLの4312Aと重量級...

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  • 一梃のヴァイオリンのために クラシック音楽の世界では、これまでに多くの天才たちが先人に学びながら驚異に満ちた作品を創造してきた。それは音の革命の歴史である。無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータも、作曲当時は聴き手に大きな衝撃を与えたことだろう。使用される楽器は一挺のヴァイオリン、つまり4本の弦と1本の弓のみ。しかし、そうとは思えないほど多彩で豊か...

    [続きを読む](2020.05.06)
  •  ジャック・ティボーのヴァイオリンは甘い音がする。 でもフレージングや強弱の付け方が洗練されているので、べたつかず、すっきりとした後味を残す。古臭いと言われがちなポルタメントやヴィブラートの奏法も上品で優雅、時に官能的な艶を帯び、聴き手を魅了する。 協奏曲を弾く時も、小品を弾く時も、ティボーの解釈には理屈っぽさがない。作曲家に対する大げさな構えも感じられな...

    [続きを読む](2020.03.13)
  • ポピュラーで、画期的な協奏曲 私が最初に聴いた音楽が何なのかは覚えていないが、クラシック音楽というものを好きになる前から、バッハのメロディーは何種類も知っていた。幼少の頃、テレビ、ラジオ、あるいは街中で聴く機会があったのだろう。パッと思い浮かぶだけでも、「G線上のアリア」、「トッカータとフーガ ニ短調」、無伴奏チェロ組曲第1番の「前奏曲」、小フーガ、イタリ...

    [続きを読む](2020.02.06)
  •  ベートーヴェンの「月光」をアナトリー・ヴェデルニコフほど美しく奏でた人はほとんどいない。この格調高く、内省的な第1楽章を聴いていると、時間や空間の動きが止まって音楽だけがなめらかに流れているような気持ちにさせられる。テクニックは申し分ないが、機械的な冷たさはなく、わざとらしいアクセントもない。演奏者がただ者でないことはすぐに分かる。 かつて名教師・名ピア...

    [続きを読む](2019.05.10)
  • 完璧な演奏 1917年10月27日、ロシアからアメリカへやって来た16歳のヤッシャ・ハイフェッツは、カーネギーホールで初リサイタルを行い、驚異的な成功を収めた。その信じがたいほど完璧な演奏は、当時客席にいた誰もがかつて耳にしたことがないもの、同業者が脅威を感じるレベルのものだったという。 以来、ハイフェッツの名は「完璧」と同義になり、やがて「ヴァイオリニスト...

    [続きを読む](2019.01.04)
  • 問いかける音楽 人が一生をかけて一つでも完成させることができたら満足しそうな作品を、バッハは65年の生涯のうちにいくつも書いた。傑作を書くのに時間は関係ないと言う人もいるかもしれないが、バッハの場合は限度を超えている。4大宗教曲を書いただけでも、音楽史に名を残すのに十分なのに、さらに、多くのカンタータがあり、平均律クラヴィーア曲集やゴルトベルク変奏曲があり、...

    [続きを読む](2017.01.07)
  •  アーリーン・オジェーの歌声は心を洗う光、雑念を消す光である。まさしく真の美声だ。普通の歌手なら中年にさしかかるあたりで声が重くなったり固くなったりして、高音の出し方にも力みが感じられるようになる。しかし、オジェーは表現の幅を広げることはあっても、気品と透明感のある美声を失うことはなかった。彼女はそのキャリアの中で、厳密な意味で「衰えない」という奇跡を積み重...

    [続きを読む](2015.10.23)
  • 音楽の冒険 J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、『クラヴィーア練習曲集』の第4部として1741年(1742年とも言われる)に出版された作品で、元々は「2段の手鍵盤をもつチェンバロのためのアリアとさまざまな変奏」と題されていた。「ゴルトベルク変奏曲」と呼ばれるようになったのは、ヨハン・ニコラウス・フォルケルが『バッハ小伝』の中で、あの有名なエピソードを伝...

    [続きを読む](2015.07.09)
  •  戦後に始まったバロック音楽ブームの火付け役といえばカール・ミュンヒンガーだが、その彼が創設したシュトゥットガルト室内管弦楽団でコンサートマスターを務めていたのがラインホルト・バルヒェットである。一部のクラシック愛好家にとっては、名前を聞くだけで胸が熱くなるような存在だ。 ラインホルト・バルヒェットは1920年8月3日、ドイツのシュトゥットガルトに生まれた。...

    [続きを読む](2015.06.04)
  • 成熟したヴィルトゥオーゾの遺産 ナタン・ミルシテインはバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全曲を2度録音している。1967年に出版されたヨアヒム・ハルトナックの『二十世紀の名ヴァイオリニスト』には、ミルシテインが演奏した「シャコンヌ」について、「彼はこの作品の構築とポリフォニーを、透明な追跡可能なものにしている。旋律の内包するものは彼の...

    [続きを読む](2015.03.24)
  • 衰えることを知らぬ人 演奏技術について語るとき、昔より今の方が格段に進歩しているとか、水準が上がっているという言い方をする人をよく見かける。しかし、全体の平均値が上がっても、突出した存在が現れるとは限らない。その証拠に、ナタン・ミルシテインやウラディミール・ホロヴィッツに匹敵するようなヴィルトゥオーゾは、ほとんど現代に存在しない。才能は平等なものではなく、分...

    [続きを読む](2015.03.20)
  • チェロの聖典 チェロの聖典といわれるJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲は、ケーテンの宮廷楽長として活躍していた1720年頃に完成したとみられている。つまり、無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータが書かれたのとほぼ同時期である。自筆譜は今日に至るまで見つかっていない。 「1720年頃の作曲説」は、無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータの自筆浄書譜に「通奏低音...

    [続きを読む](2014.05.21)
  • ザ・トイズ「ラヴァーズ・コンチェルト」(1965年/全米No.2) クラシック音楽が原曲になっているポップスは数多あるが、「ラヴァーズ・コンチェルト(A Lover's Concerto)」ほど原曲にまさるとも劣らぬ魅力を感じさせる曲を私は知らない。歌詞もアレンジも秀逸で、何度聴いても飽きることなく、草原に吹く風のようにみずみずしいフィーリングで胸を満たして...

    [続きを読む](2014.05.08)
  •  2004年にグリゴリー・ソコロフのコンサート映像がDVD化された時、日本では知名度が高いとはいえないこの大ピアニストについて、私は次のように書いたことがある。「現在は西欧を中心にマイペースの活動を行ない、その名声はすでに不動の高みに達している。にもかかわらず、日本で目立つかたちで紹介される機会はなく、情報が増えない。はっきりいえばマイナー扱いされている節す...

    [続きを読む](2013.04.16)
  • メロディー・メーカーとしてのバッハ バッハの4つの管弦楽組曲がいつ書かれたのか、はっきりしたことはわかっていない。ケーテン時代(1717年〜1723年)の作という説が有力ではあるが、第1番や第4番に関しては、それより後に作曲されたのではないかとみる人も多い。 また、「管弦楽組曲」というのも正式名称ではなく、当時は「序曲」と呼ばれていたらしい。なぜ「序曲」なの...

    [続きを読む](2012.07.10)
  • 異国情緒漂う編曲版 アルンシュタットの教会オルガニストだった20歳のJ.S.バッハは、「自分の芸術に関係のある様々なことを学ぶために」4週間の休暇を得て、北ドイツのリューベックへ向かった。そこで老ブクステフーデの作品と演奏に感銘を受けたバッハは、無断で休暇を延長し、最終的に4ヶ月間も滞在していたという。この有名な逸話はバッハのプロフィールに必ず出てくるものだ...

    [続きを読む](2012.04.14)
  • 愛の協奏曲 バッハはヴァイオリン協奏曲を少なくとも6作品は書いていたといわれているが、現在伝えられているのは3作品のみである。独奏ヴァイオリンのための2作と、2つのヴァイオリンのための1作だ。これらは1717年から1723年のケーテン時代に書かれたとみられている。このうち2つのヴァイオリンのための協奏曲の作曲年は、ほかの2作より早く、1718年頃と推定されて...

    [続きを読む](2012.02.08)
  • 天才は最後にキレた メンデルスゾーンが紡ぎ出す旋律は流麗で、親しみやすく、時折情熱的な力強さや憂鬱な表情を見せることはあっても、取り乱した叫び声となることはない。音楽的な冒険をしても、それは「カッコいい」と思える範囲にとどまり、節度は保たれている。だから紳士淑女が顔をしかめることもない。そういうところをあげつらい、「メンデルスゾーンの作品はお上品で中身が薄い...

    [続きを読む](2011.07.29)
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