音楽 CLASSIC
  • ベートーヴェンの「月光」をアナトリー・ヴェデルニコフほど美しく奏でた人はほとんどいない。この格調高く、内省的な第1楽章を聴いていると、時間や空間の動きが止まって音楽だけがなめらかに流れているような気持ちにさせられる。テクニックは申し分ないが、機械的な冷たさはなく、わざとらしいアクセントもない。

    [続きを読む](2019.05.10)
  • ジョルジュ・ビゼーの歌劇『カルメン』は1873年から1874年にかけて作曲され、1875年3月3日、パリのオペラ・コミーク座で初演された。しかし、この初演は失敗に終わった。台本を手がけたリュドヴィック・アレヴィによると、好評だったのは第2幕の「闘牛士の歌」までで、そこからは冷めた雰囲気になっていったという。その後も上演は繰り返されたが、本来勝ち得るべき賞賛を...

    [続きを読む](2019.04.10)
  • ジョスカン・デ・プレは1440年頃おそらく北フランスに生まれ、1521年8月27日にコンデ=シュル=レスコーで亡くなったルネッサンス期を代表する作曲家である。1440年といえば、ジャンヌ・ダルクが火刑に処せられてまだ9年しか経っていない。ずいぶん昔の人のように思えるが、ジョスカンの作品はそれから何世紀もの間、多くの作曲家のように一度

    [続きを読む](2019.03.02)
  • ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番は1804年から1805年にかけて作曲されたとみられている。「熱情(Appassionata)」という題は作曲者の死後、ハンブルクの出版社クランツによって付けられたものだが、まさに熱情をそのまま音楽に置き換えたような作品なので、おそらく今日でも、この作品を初めて聴く人は、オブラートに包まれていない激しい感情

    [続きを読む](2019.02.04)
  • 1917年10月27日、ロシアからアメリカへやって来た16歳のヤッシャ・ハイフェッツは、カーネギーホールで初リサイタルを行い、驚異的な成功を収めた。その信じがたいほど完璧な演奏は、当時客席にいた誰もがかつて耳にしたことがないもの、同業者が脅威を感じるレベルのものだったという。以来、ハイフェッツの名は「完璧」と同義になり、やがて

    [続きを読む](2019.01.04)

月別インデックス