音楽 CLASSIC
  • モーリス・ラヴェルの『ボレロ』は、極めてユニークな手法で書かれた傑作として音楽史上特異な地位を占めている。管弦楽曲の醍醐味をここまで大胆かつわかりやすく明示した作品はほかにない。曲の構成はいたってシンプル。一定のリズムが刻まれる中、ひたすら2つのメロディーが繰り返される。ただそれだけ。展開も何もない。変化するのは「音色」のみ。様々な楽器が代わり番こにメロディ...

    [続きを読む](2011.05.28)
  • 今、カリンニコフの名前はどれくらい知られているのだろうか。同じ国のボロディン、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ、チャイコフスキー、ラフマニノフといった人たちに比べると、圧倒的に知名度は劣るし、作品の数自体も少ない。かといってマイナーな作曲家かというと、そうとも言えない。彼の代表作である交響曲第1番は、1897年の初演時から好評だったし、わが国にも192...

    [続きを読む](2011.05.21)
  • モーツァルトのオペラでまず有名なのは『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』。これらはモーツァルトの三大オペラと呼ばれている。が、メロディーメーカーとしての彼のセンスが最も意気盛んに爆発しているのは『後宮からの誘拐』である。このオペラの中に織り込まれた20曲あまりの歌は、どれも表情豊かで美しい旋律によって編まれており、ポピュラー・ソングとして通用する...

    [続きを読む](2011.05.13)
  • クナッパーツブッシュが作り出す音楽は構えが大きい。テンポは概して遅め。しかし緊張感を失うことはない。響きは重厚でがっしりとしているが、時折えもいわれぬ透明感を帯び、聴き手に息を呑ませる。スタジオ録音の代表盤は、ワーグナーの『ワルキューレ第一幕』、『ヴェーゼンドンク歌曲集』、コムツァーク2世の「バーデン娘」などが入った名演集。全てオーケストラはウィーン・フィル...

    [続きを読む](2011.05.10)
  • ハンス・クナッパーツブッシュは1888年3月12日、エルバーフェルトに生まれた。幼い頃から音楽に親しみ、12歳の時に児童オーケストラを指揮、いつしかオペラ指揮者を夢見るようになる。親からは音楽の道に進むことを反対されるが、1908年、ボン大学で学業を修めることを条件に、ケルン音楽院に通う許しを得る。音楽院ではブラームスと親交のあったフリッツ・シュタインバッハ...

    [続きを読む](2011.05.10)
  • 豪放磊落な巨人、クナッパーツブッシュに関するエピソードはたくさんある。そのうち最も広く知られているのは、練習嫌いのクナ(クナッパーツブッシュの愛称)が本番当日になってようやくリハーサルにやって来て、オーケストラに挨拶をした後、「この作品は皆よく知っている。私も知っている。ではまた夕方お会いしましょう」といい残して去ったという話だろう。「練習嫌いってことは怠け...

    [続きを読む](2011.05.10)
  • レクイエムというと、なんとなく縁起でもないことや異界的なものを思い浮かべてしまう人が一般的には多いようだ。おそらく「死者のためのミサ曲」とか「鎮魂曲」といった訳語がそんな連想を引き起こすのだろう。しかし、本来レクイエムとは近寄りがたいものでも何でもなく、もっと実際的な効能を持つ音楽なのである。「死者のためのミサ曲」は、「死者に捧げていると信じることで、生者が...

    [続きを読む](2011.05.02)