映画 MOVIE
  • 真面目で妻思いだったはずの農夫が、都会からやってきた女に誘惑され、堕落する。彼は愛人にそそのかされ、妻をボートで連れ出して殺そうとするが、土壇場で思いとどまる。一方、純真な妻は、夫が自分を殺そうとしたことにショックを受け、泣きぬれる。やがて夫は激しい後悔の念に苛まれて改心し、妻も夫を許す。愛の涙の中で仲直りする夫婦。

    [続きを読む](2011.03.31)
  • 日本の監督で、女優の魅力を引き出すのが最もうまいのは誰か? この問いに対し、成瀬巳喜男や木下惠介と答える人は、おそらく吉村公三郎の名前を知らないか、忘れている。成瀬も木下も女心のひだを撮る名手として知られているが、起用する女優は大体いつも同じだった。しかし、吉村は全くタイプの異なる女優を次々と主役に据え、その持ち味を発揮させる、まさに「女優映画」

    [続きを読む](2011.03.25)
  • 世の中には、目が合っただけで男の心を乱し、「俺に気があるんじゃないのか」と思わせてしまう女がいる。アルヌールは、まさにそういう女優である。しかも、それをスクリーン越しにやってしまうのである。ツンと澄ました感じがなく、ド迫力ボディのグラマーでもなく、「わたしは金のかかる女です」と言わんばかりのセレブなムードを漂わせてもいない。親しみやすいけれど少し陰があり、近...

    [続きを読む](2011.03.19)
  • 1952年に監督デビューして以来、会社から言われるままひたすら娯楽映画を撮り続けていた野村芳太郎が、初めてその尖った個性を見せたのは1958年の『張込み』からである。原作は松本清張。映画の大部分を占めるのは2人の刑事が犯人の元恋人宅を見張っているシーン。それが終盤、急展開をみせ、クライマックスへと驀進する。その演出の巧みさといったら、黒澤明の『天国と地獄』と...

    [続きを読む](2011.03.17)
  • 彼女を本気で好きになってしまったら、きっとただではすまない。いや、間違いなく不幸になる。それでも多分男たちは喜んで己の人生を捧げるだろう。ナスターシャのためならば。聖女のように清らかな美貌、エキゾチックなムード、野性的な目つき、そして官能的な唇と、男を狂わせる肢体ーーナスターシャ・キンスキーは男の夢である。と同時に、男を自滅の快楽へと誘い込む危険な天使でもあ...

    [続きを読む](2011.03.09)
  • ドン・シーゲルはもったいぶらない人である。いきなり冒頭から緊張感がはりつめ、事件が起こる。ゆっくり、徐々に盛り上げて、などと回りくどいことはしない。このスタイルは初期の『仮面の報酬』から、出世作『殺人者たち』、代表作『ダーティハリー』、『突破口!』、『テレフォン』に至るまで変わらない。アクションの描写も、昔の映画とは思えないほど切れ味が凄い。さすがサム・ペキ...

    [続きを読む](2011.03.06)

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