音楽 CLASSIC

楽の森

不滅の作曲家・作品

一度聴いただけなのに忘れられない音楽。なんとなく繰り返し聴いている音楽。
それらはどのようにしてこの世に生まれたのだろう。
ここでは作曲家/作品に焦点を当てながら、作曲経緯やエピソードを紹介、
森のように深いクラシックの世界に踏み込みたい。
文●阿部十三

  • 一昔前まで日本では知る人ぞ知る作曲家だったヤナーチェク。同じチェコ出身のスメタナやドヴォルザークに比べると知名度は圧倒的に低く、作品が演奏される機会も少なかった。それが今、頻繁にコンサートで取り上げられ、熱狂的なファンを持つまでになっている。むろん、まだまだ一般に浸透しているとは言いがたい。正直なところ、自分だけの「とっておき」にしておきたいと思っている人も...

    [続きを読む](2011.02.18)
  • 天才と呼ばれる人には大きく分けて二種類のタイプがある。外部からの刺激をあまり受けない高踏的な天才と、外部からの刺激を受けやすい天才だ。ベーラ・バルトークは後者のタイプに属する作曲家である。民族音楽から受けた影響については前回述べたが、そのほかにもバルトークはほとんど無防備といえるほど多くの作曲家に感化されている。少年時代に夢中になったブラームスにはじまり、R...

    [続きを読む](2011.02.14)
  • 人は常にいくつかの感情を同時に抱え込んでいる。心が喜びだけで満たされる瞬間があったとしても、その状態は長く続いてはくれない。嬉しさの中には少しのわだかまりがあったり、安堵感の中には拭いきれない不安の影があったり、達成感の中には説明のつかない不満があったり......と相反するはずの感情が胸の内に共存しているものである。人間とは割り切れない生き物なのだ。ハンガ...

    [続きを読む](2011.02.10)
  • 1785年、モーツァルトはピアノ協奏曲第20番ニ短調を2月に書いた後、わずか1ヶ月足らずで第21番ハ長調を書いた。ハ長調というシンプルな調性をみても想像がつくように、この作品は暗い情熱が渦巻く第20番とは異なり、明るく、優美で、リズムも快活である。しかし、そこはモーツァルト、快活なだけの作品では終わっていない。耳を澄まして聴いてみると、危険なまでの美しさがひ...

    [続きを読む](2011.02.08)