音楽 POP/ROCK

名盤再考

Reconsidering Masterpiece

無数のアーティストがデビューし、無数の作品がリリースされ、
新しい情報が堆積してゆく中、ともすると過去の名作は埋もれてしまいがち。
CMやドラマで頻繁に使用されれば、その時だけはマスコミも思い出したように取り上げる。
一方、そうでないものには永久にスポットライトが当たらない。
それも世の常人の常なのだろうが、“古典と呼ぶにはあまりに新鮮で魅力的な作品なのに”と
ヤキモキしている人は絶対にいるはず。そんな人の気持ちに応えるべく、
今日性と一見無縁そうだが、今なお私達の心に多くのことを訴えかけるディスクを選定し、
力をこめて紹介する。

  • 筆者に限ったことではないだろうが、本作『キャリー・アンド・ローウェル』(2015年/全米チャート最高10位)に大きな衝撃を受けたのは、それまでのスフィアン・スティーヴンスが自伝的な作品を作る人ではなかったからだと思う。地元ミシガン州にあるカレッジ在学中に音楽活動を始めたスフィアンは、卒業前の2000年にファースト・アルバム『A Sun Came』を発表。ロー...

    [続きを読む](2025.05.17)

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